米国ETFは配当控除が使えないという欠点も

高配当の株式投資といえば、個別銘柄や米国ETFが人気です。国内の個別銘柄なら、配当控除を使えるので、税金を通常の約20%から5%までおさえられることがあります。これは非常に大きな差です。

米国ETFは、世界一のアメリカ経済に支えられているので、今後も長期的には堅調な成績が期待できます。しかし、前述の配当控除が使えません。さらに、米国でも税金がかかり二重課税となります。米国の分は外国税額控除で取り戻せますが、海外ETFは配当控除が使えないので、20.315%まで戻すのがやっとです。それでも米国ETFが良いという人もいますし、情報も得やすく税金も安い日本の高配当株が良いという人もいます。

ETFに丸がついた新聞
写真=iStock.com/Bet_Noire
※写真はイメージです

これは個人の好みや、実際に買ってみて合うほうを選べば良いでしょう。そうやって自分に合うスタイルを見つけていくのも、投資の面白さです。

「高配当」は維持できなくなる危険性がある

ただし、日本の高配当株を探すときはいくつか注意が必要です。そもそも成長性に乏しい可能性があることは前述しましたが、その上無理をして高配当を維持している場合は、減配リスクがあるので危険です。

それは「配当性向」という指標に現れます。これは、いろいろな経費を差し引いた当期純利益からどれだけ配当に回しているかを示す指標です。配当性向が高いというのは、配当で投資家に還元しようとする意思が経営層にあると考えれば、プラスに捉えられます。

しかし、デメリットもあります。高ければ高いほど、減配リスクが高まるからです。減配はキャピタルロス(値下がり損)にもつながります。利益は毎年約束されたものではありません。コロナショックのあった2020年のように、想像もしていないことが起きれば、利益を維持できず、減配せざるを得ない状況になります。高配当を目当てに投資している投資家からは失望売りが出て、それによる株価の下落を見越した売りも重なるかもしれません。

「高配当」というと聞こえは良いのですが、維持できなくなる危険性があることを念頭に置いておくべきです。「多少値下がりしても配当があるから結局プラス」という考えは危険です。そこからさらに、配当の税金を考慮してもプラスになっていますか? マイナスとまではいかなくても、さらにリターンが減ってはいませんか? まとめると、たとえインカム重視であろうとも、値上がり益を捨てていいということではないのです。