「食い倒れ地域」は「パン好き地域」

さて、こうした「食い倒れ地域」には、大都市圏だという点以外に、何か共通の「食」の特徴はないかと探してみると、興味深い分布が食い倒れ地域と重なっていることが判明したので紹介しよう。

われわれが食べる炭水化物の3大食品は「米」と「パン」と「麺」である。家計調査のデータから好きな炭水化物食品の地域分布を図表4で探ってみた。この図は、この3品目について、支出額の県庁所在市ランキングが最も高い品目を、それぞれの食品を好んでいる地域として色分けしたものである。支出額の多いトップ10地域の表も付加しておいた。

米好き、パン好き、麺好きの地域分布

描いた統計地図を見ると、東日本(北海道を除く)では「麺」、東京大都市圏と西日本では「パン」を好んでいるという大きな地域分布が明確である。米どころとして知られる東北や新潟がむしろ麺好き地帯であるのはやや意外である。東日本の西端は富山、長野、愛知のラインとなっている。

一方、「米」は、北海道、沖縄という日本列島の両極、および西北陸、そして静岡から和歌山、高知、南九州に続く西南暖地で好まれている。

もっとも、飛び地がある。西日本の中でも讃岐うどんの香川と出雲そばの島根は「麺」に区分される。また、東日本の中でも群馬は「米」に区分される。

パンはもともと横浜や神戸といった国際港湾都市や東京などの大都市、および岡山、広島といった西日本で多かったが、その後、食生活の洋風化とともに全国にパン食が拡大した後もこうした地域性が保たれている。

そして、図表3の「食い倒れ地域」に属する地域は、パン好き地域と重なっている。パンの消費支出額上位6位までの地域は岡山を除くとすべて「食い倒れ地域」なのである。日常食の食パン、おやつにもなる総菜パンに加え、最近は、二斤サイズで1000円前後する高級食パンや、会社員がランチなどで利用するカフェでは凝った新レシピの1個数百円のパンが続々登場している。そう考えると、パンは米や麺に比べ、総じてコストが高くなってエンゲル係数を押し上げているのかもしれない。

「米」好き地域については、かつては全国的に米中心だった状況から、パン好き、麺好き地域が明確になる中で、遠隔地ではかつての特色をなお残しているともとらえられよう。西南暖地とも言うべき地域がなお米好きということからは、気象上の米栽培の適地だという要因も作用している可能性もある。

なお、麺といっても、うどん、そば、ラーメンなどと種々である。東日本の麺好きは何によっているかをうかがうために麺類に属する各品目の支出額を調べてみると、「パスタ」や「即席麺」は東京圏や西日本で多いが、「中華麺」や「カップ麺」では東北諸県や新潟が上位を独占しており、東北を中心とした東日本の麺好きは主としてラーメン好きであるためと考えられる。

米好きや麺好きな地域は、結果として、食費にあまりお金をかけずに済んでいると言えよう。

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