政府と中央銀行の連携は経済政策のイノベーション
歴史をたどれば、もともと中央銀行という存在はなく、政府が通貨発行をしていた。
しかし、政府が通貨発行権を持つことで、戦争など良からぬものにお金を使ってしまったり、制御不能なインフレが進行することがしばしばあった。
そこで、マネー供給をコントロールするための、独立した機関をつくったのが、中央銀行の始まりである。
日本はバブル崩壊以降、マクロ経済政策で十分な成果を出すことができず、デフレ経済を長期間放置してしまった。
海外では、バブルが崩壊したときに、日本の二の舞にならないために、どのようなマクロ安定化政策が望ましいのか、という研究が進んだ。
その結果、それまで政府は中央銀行の独立性を重視していたが、デフレに陥らないために、不況になった時には中央銀行と政府が連携して積極的なポリシーミックスを行うこと、つまり財政出動と金融緩和を同時に行うことが処方箋だという見解が広がった。
その後にリーマンショックが起こり、欧米を中心にポリシーミックスを実施。
結果として、デフレに陥らずに済んだことで、その効果が実証されたのである。
統合政府論はクルーグマン、スティグリッツ、サマーズ、バーナンキといった海外の主流派経済学者の間で支持されている。それまでは、中央銀行の独立性を重視し、財政政策と金融政策を切り分けて考えていたことからすると、統合政府論は財政金融政策のイノベーションといえる。