「なんでもできます」ではなく「これができます」

50歳から“即戦力”として生きている人の特徴を見ると、なんらかの専門性をもっている人がほとんどです。「なんでもできます」というのではなく、「これができます」という一目置かれるものがあるから、声もかかるのでしょう。

年を重ねるほど上の立場になる人も多いですが、実際の社会では、その役割は限られています。会社の部長や役員をしていても、よほどの実力がないかぎり、別の場所では即戦力にはならないものです。

ほんとうの意味で実力を発揮するためにも、人生の幸福の面からも、「自分にできること」を集約して深めていったほうが求められやすいのです。

早いうちから「この人がいないと困る人」を意識する

会社で働いている人は、先を見据えて早い段階から「なにかの専門家として声がかかる自分」を意識しておくことをおすすめします。

「人が認めてくれる強み」とは、あなたがしたことに対して、相手が心を動かしたということ。それをヒントに専門性をさらに深掘りしようとすることで、努力の方向性も見えてきます。

小さな会社でも、退職した人に「これまで通り、経理はやってほしい」「○○の担当はずっとお願いしたい」などと頼むことがあります。

以前、働いていた編集プロダクションには、ときどきやってくる60代の校正者がいて、だれも気づかない間違いを指摘してくれていました。以前、弁護士事務所で働いていた経験もあって、法律にも詳しくて契約関係も担当。いなくては困る人になっていました。

会社を辞めても、「この人に頼みたい」「この人がいないと困る」という必要な人になることは可能なのです。

オフィスのガラスボードにメモを書いて若者に説明をする高齢の男性
写真=iStock.com/Dean Mitchell
※写真はイメージです

「専門性」というと、高度な技術とか、深い知識とか、むずかしく考えがちですが、そんな大げさなことではありません。最初は“にわか専門家”でも、求めている人がいれば、“立派な専門家”に成長していけます。会社でつちかったスキルを、会社外で通用するものにしていくこともできるでしょう。