男性が何歳になっても性行為を楽しむにはどうすればいいか。富永ペインクリニック院長の富永喜代さんは「十分な勃起を得られない『ED』の治療には、薬の服用と運動を並行して行うと、薬の効果が上がる。その場合、週3回30分程度のランニングが目安になる」という――。

※本稿は、富永喜代『女医が教える性のトリセツ』(KADOKAWA)の一部を再編集したものです。

食事制限と運動、禁煙…自分でできるED改善プログラム

EDとは、満足な性行為を行うのに十分な勃起が得られない、維持できない状態が持続すること、または再発することです。たとえ性欲があっても、毎回思うように勃起を得られないと、自信を失い、心理的にもセックスから遠のいてしまいます。

現在はバイアグラやシアリスなど治療薬もあります。しかし保険適用ではないため、安価ではありません。医師に処方箋を書いてもらうのはハードルが高いと思う方もいるでしょう。またインターネットでは偽薬が出回っているため注意が必要です。

病院に駆け込む前に、まずは自分でできるED治療についてお話しします。実は世界的にも、日本はED患者が多い国です。

EDの原因として、加齢・糖尿病・心血管疾患・高血圧・テストステロン低下・慢性腎臓病・神経疾患・外傷・手術・うつ病・薬剤・睡眠時無呼吸症候群・肥満・運動不足・喫煙などが挙げられます。このうち、肥満・運動不足・喫煙は、自分でも改善できるものです。

また、太っている人のほうがそうでない人よりも、EDになるリスクが1.7倍高いという実証も出ています。つまり食事制限と運動で肥満を解消し、禁煙に努める――これが自分でできるED治療法です。

世間のオジサンが夜な夜なランニングをしている理由

ED治療薬の服用も大切ですが、治療薬と運動を並行して行うほうが、ただ治療薬を飲むよりも、薬の効果が上がることが実証されています。この際、運動の強度はやや強め、ランニングだと30分程度が目安です。はじめは週3回を目標にしましょう。

富永喜代『女医が教える性のトリセツ』(KADOKAWA)
富永喜代『女医が教える性のトリセツ』(KADOKAWA)

運動習慣が身について肥満を解消できれば、前に述べたEDの引き金となる生活習慣病などの改善にも結びつきます。とはいえ、「生活習慣病の予防のため」と言われても運動のモチベーションは、上がらないかもしれませんね。

私の患者さんでも「先生、オレ、運動が好きじゃないんだよね~」と口にする方もいます。そういう方には「世間のオジサンが夜な夜なランニングしているのは、なにも生活習慣病予防のためじゃないの! 勃たなくなる恐怖心と戦っているからよ!」と一喝します。するとあら不思議。皆、すぐに運動を始めるのです(笑)。

何歳になっても気持ちのいいセックスをしたい――そんなスケベ心こそ健康を握るカギ、と言っても過言ではないはずです。