米軍は中国がどう台湾に侵攻するかを調査済み

【石平】最後に最も気になる質問をします。もし、中国が本気で台湾を取りに行く場合、中国はどのような戦術をとりますか?

【エル】すでに米軍が調べていて、実際にどうなるかがわかっているので、それは言えません(笑)。

【石平】そうか! いやわかりました、その言葉を聴けただけで十分です! では答えられたらでいいですが、中国は失敗するか成功するか? 経済制裁とは別の話で軍事行動としてどうか?

【エル】成功すると思う。

【石平】ああ、それはちょっとショックだな。

【エル】なぜなら台湾が国家として承認されていないからです。

【石平】やはりこの問題に戻ってくる。

台湾を孤独にしないために、日米台で連携を

【エル】繰り返しますが、中国のアメリカ社会への政治戦、経済戦の浸食があまりに進んでいるのです。そして問題なのは台湾と日米、ヨーロッパとの連携がとれていないことです。要するに台湾を孤独にしてはいけないのです。そのための第一歩が台湾を国家として承認することですが、現状はそうではありません。もちろん、国家でなくても軍事連携はとれますが、それすら進んでいません。

石平、ロバート・D・エルドリッヂ『これはもう第三次世界大戦どうする日本』(ワニブックス)
石平、ロバート・D・エルドリッヂ『これはもう第三次世界大戦どうする日本』(ワニブックス)

【石平】いや逆によくわかりました。台湾を守りたいのならば戦争が起きてからではなく、その前に日本とアメリカを代表する国際社会が肝心な問題をクリアしなければならないということですね。そして日米台で安全保障条約を結び、三国連携で台湾の侵略は絶対に許さないという意志を示す。そこまでやらなければ、中国に台湾侵攻を諦めさせることはできない。

ウクライナ人の必死の抵抗で中国の台湾侵攻が少しでも遅れる可能性があるのなら、日本はこれを僥倖として、まずは憲法改正をしなければならないでしょう。平和は平和憲法があるから守れるわけではないのですから。

【エル】軍事力もさることながら、世界が尊敬し、真似をしたくなるような「民主主義」を守るという理念・理想がなければ、この厳しい戦いに勝利することはできないのです。

【石平】ありがとうございます、身が引き締まるような対談でした。

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