※本稿は、尾形哲『専門医が教える 肝臓から脂肪を落とす食事術』(KADOKAWA)の一部を再編集したものです。
体につく脂肪には3つの種類がある
ダイエットのイメージはさまざまでしょうが、私が担当する「スマート外来」で指導するのは、肝臓をいたわり、肥満や脂肪肝の改善を目指す減量法になります。健康を維持する、科学的根拠に基づいたダイエットであって、これからお伝えする方法はモデルさんのようなスレンダーな体型を目指すものではないことをご承知おきください。
さて、体重はなぜ増えるのでしょうか。それは、“体に「脂肪」が増える”からです。「そんな当たり前のことを!」と思われるでしょうが、脂肪について正しく理解している人は意外と少ないので、ここで整理しておきましょう。
体につく脂肪には種類があります。一般的にイメージしやすい、太ももやお尻まわり、下腹部などについている、触ってわかる指でつまめる部分の脂肪が「皮下脂肪」です。さらに、メタボリックシンドロームの診断基準の1つになっているのが「内臓脂肪」です。内臓脂肪は胃や腸へ流れる血管の入った膜にたまっていく脂肪です。
そして、もう1つ。あまり知られていないのが、肝臓につく「肝臓脂肪」です。内臓脂肪はお腹まわりをびっしり覆うようにつく脂肪ですが、肝臓脂肪はそうではありません。肝臓を構成している細胞の1つひとつにラーメンの背脂のような滴がたまって肝細胞が膨らんでいます。
脂肪肝は自覚症状のないまま肝臓機能が失われていく
脂肪がたまった肝臓が「脂肪肝」ですが、要はガチョウの肝臓を太らせてできる高級食材の「フォアグラ」だと思っていただければ理解してもらいやすいでしょう。脂肪肝の罹患者は国内に2000万人以上いて、このうち1~2割の人に5~10年で肝硬変に至る「脂肪肝炎(非アルコール性脂肪肝炎)」がみられます。
脂肪肝の怖いところは、自覚症状のないまま徐々に肝臓の機能が失われていくことにあります。お酒を飲まないのに健康診断の肝機能の数値がよくない人、40代以上で若い頃よりも体重が大幅に増えたという人は、脂肪肝の疑いが高いと言っていいでしょう。