未来は二分する
たとえば、すでにドイツは一夜にして国防予算を倍増させました。教師、看護師、ソーシャルワーカーに充てられるべきお金が、戦車、ミサイル、そして「サイバー兵器」にかけられるのです。
戦争の新時代はまた、人類共通の緊急の課題をめぐる国際協力を衰退させるでしょう。
相手を壊滅させる覚悟の国と仕事をするのは容易ではありません。おそらく、プーチンが成功すれば、人工知能による軍備拡大競争が起こり、気候変動予防に向けた国際的努力は崩壊するでしょう。
プーチンが敗北すれば、平和な時代の継続が保証されることでしょう。世界中の国が、暴力に勝ち目はなく、プーチンを真似れば罰せられるという教訓を学ぶのです。
国防予算は低く抑えられ、保健予算は高くなります。プーチンが敗北すれば、おそらく地球の住民一人ひとりが、より良い医療と教育を受けられるでしょう。
観察者に留まってはいけない
──過去の悲劇が引き起こした痛みを知り尽くし、同時に変化の可能性に信頼を置く歴史家として、いま、あなたはご自身に何と語りかけますか?
【ハラリ】決定的瞬間が訪れた、そして攻撃と圧政を打ち破るために誰もができる限りのことをするべきだと言います。寄付をするのであれ、オンラインの「戦い」に貢献するのであれ、制裁を支持するのであれ、ただ窓にウクライナの国旗を吊るすのであれ。
ウクライナの人々は、全世界の未来の輪郭を描いているのです。我々が圧政と攻撃の勝利を許したら、すべての人がその結果を被ることになります。ただの観察者に留まっている意味はありません。いまは立ち上がり、態度を示すときなのです。