「自己受容」、言い換えれば「セルフラブ」の姿勢

物事を悲観的に捉えがちの人も同様です。アメリカの精神科医アーロン・ベックは、うつ病になりやすい3つの要素を挙げました。「自己への否定的評価」「世の中を過度な要求をするものとして捉える傾向」「将来を苦痛と失敗で見通す傾向」です。

仮に同じ出来事を体験した2人がいたとしても、その出来事をどう解釈し、意味づけをするかは、それぞれの「認知」の仕方で大きく分かれます。

例えば、自転車横転で怪我をした際、「なんて不運なんだ」と嘆くか、「この程度で済んでよかった」と感謝するかで、人生の捉え方は変化します。「出来事」に対してどういう意味づけをするタイプか、自分の「認知」の仕方を見返してみるといいでしょう。

私がぜひともお勧めしたいのは、「自己受容」、言い換えれば「セルフラブ」の姿勢です。「これができる・あれもできる自分」を肯定するという意味での自己肯定感ではなく、あるがままの自分を受け入れる人生観です。

自己管理とは、常に体調を崩さないよう心身を鍛えることではありません。心や体が不調になったときに、早めに気づいて対処できることなのです。今自分がどれくらいしんどいのか、今週は何時間残業してどれくらいしんどかったのか、これが何カ月まで続くのなら耐えられそうか、残業時間を何割減らせば継続できそうか……ここを越えたらさすがに無理というラインはどこなのかなどのセルフマネジメントノートを作っておくのもいいです。「今は気分が楽だな」「最近、ちょっとしんどいな」、そんな心の声に、どうか耳を傾けてみてください。

「ゆるめる」感覚を体と心で覚える
(構成=三浦愛美)
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