人生にはさまざまなライフステージがあり、「頑張りどき」もあるでしょうが、「頑張りすぎ」は禁物です。

こんな人は要注意! 頑張りすぎチェックリスト

人間は機械ではありません。風邪もひくし、怪我もするでしょう。でも、怪我をすれば病院に行く人も、なぜか心が不調なときは「怠慢」と思い込み、「努力」で乗り切ろうとしてしまう。

「まだ大丈夫」「まだ頑張れる」と耐え続けた結果、ある日プツンと緊張の糸が切れてしまうのが一番怖いです。

私は産業医としても働いていますが、心身ともに不調なまま働き続けるより、1度しっかり休んでから職場復帰したほうが、その後のパフォーマンスが向上するという報告もあります。

必要とあれば躊躇せずに診療科を受診してください。メンタル不調は決して「怠慢」でも「心が弱い」証拠でもありません。

では、実際に「頑張りすぎ」のサインにはどのようなものがあるでしょうか。わかりやすいところでは、不眠・食欲不振・腹痛・めまい・手の震え・円形脱毛症などです。

目に見えないタイプもあります。「頭の回転が遅くなった」「職場でミスを多発するようになった」「最近、無性にイライラする」「本やテレビの内容が頭に入ってこない」など、「以前は簡単にできていたのに、できなくなった」ことがあれば、立ち止まるサインかもしれません。

さらに気づきにくい症状としては、「風呂に入れない」「料理ができない」「片付けられない」などもあります。 これらは「だらしなくなった」のではなく、思考過程の障害や思考制止により遂行が妨げられている可能性もあります。

例えば料理1つとっても、意外に多様なタスク遂行能力が求められます。何を食べたいかを考え、献立を決め、人数分の食材を買い出し、食材を切り、炒め、盛り付ける……。目的の計画・遂行・実現のための「遂行機能」も含め、メンタル不調で脳の活動が低下した結果、「最近あの人ボーッとしてるね」「だらしなくなったね」と、周囲からは思われることもあるのです。

もちろん、一時的な疲れの場合もありますが、週末や休暇を経てもなお、「疲れが取れずやる気が出ない」「どうしても会社に行きたくない」のは、「頑張りすぎ」のサインかもしれません。

メンタル不調になりがち「思考の癖」を見極める

心や体に不調が出る原因は何でしょう。周囲の環境以外に、本人の「気質」や「考え方」も無視できません。

「頑張りすぎ」な人に共通する思考として、「べき思考」が挙げられます。「もっと〜すべき」「常識では〜すべき」など、物事に厳格なルールや、達成すべき基準が存在し、自他ともに厳しく課すタイプは責任感が強く、行動力もある半面、「もっと頑張れるはず」と無理しがちです。

「白黒思考」、いわゆる二極思考も注意が必要です。物事すべてを「0か100か」で考えてしまう人は、「この同僚は敵か味方か」「プロジェクトは成功か失敗か」のどちらかに偏りがちです。レポートの一カ所を、上司から改善指摘されただけで、すべてが落第だったと落ち込んでしまう人は、もう少し気楽に構えてみてください。