VIP対応の店で「特別」になるための3つの基準

実はこのような「特別対応」については、私が主宰する「RICCA」の生徒さんからも、

「高級ブティックや一流ホテルで、特別扱いされるようになりました」

という声をよく聞きます。

あなたは、世界中のVIPを対応している場所で、「特別なお客さま」になるのには、何が必要だと思いますか?

もちろん、それなりのお金を払えば、そのブランドの会社からは「顧客」と見なされます。でも、お金がすべてを決めるわけではありません。

私もシャネル時代の接遇経験でわかったのですが、お店の人に「こちらのお客さまを大切にしたい」と思われるかどうかは、次の3つの基準で判断されるのです。

①自分を大切にしているお客さまか
身だしなみ、言葉づかい、所作はどうか。

②お店への敬意があるか
店員の方に対して、心地よい対応ができているか。
店内で見せてもらった品物を丁寧に扱えるか。

③まわりの方への配慮があるか
大声で話すなど、周囲の迷惑になっていないか。

ほかにもありますが、とくにこの3つが、際立って重視されているのです。

私も少し背筋を伸ばす場所に行くときは、この3つには気をつけています。せっかく特別な場所に行くのですから、素敵なひとときにしたいですよね。

「ファストイン スローアウト」で優雅さを身につけよう

「どうしたら所作が優雅に見えますか?」
「どうしたら話し方が綺麗に聞こえるでしょうか?」

とくに人前に立つ仕事をしている方々からは、このような質問をよくもらいます。

白鳥のようにゆっくり優雅に動くと、たしかに綺麗に見えるかもしれません。けれども、忙しく仕事をしていると、いつでも余裕を持ってゆっくりと……とは、なかなかいかないですよね。

私も自分自身が接客に携わっていたのでわかりますが、たしかにゆっくりとした動作や言葉づかいには余裕が感じられ、高級感があるように見えます。

でも、自分がお客さまの立場で急いでいる場合は、

「そんなにゆっくりしていないで、早くお会計してよ~!」

と思ってしまいますよね。

かと言って、バタバタとせわしなく動いている動作や早口の言葉は、がさつで粗雑なイメージを与えてしまいます。

そこで、普段一生懸命働いているキャリア女性にこそオススメしたいのが、「ファストイン スローアウト」の所作と言葉づかいです。

たとえば、「ありがとうございました」と言ったあとの一礼。

通常であれば、頭を下げたあとに、

「1、2、3……」

と数え、頭をゆっくり上げるところを、

「1で頭を下げ、2、3……で頭を上げる」

とするのです。

「動作の最初は速めに、最後はゆっくり」を意識する。それが「ファストイン スローアウト」です。

言葉づかいも、語尾の「……です」「……ですよね」をほんの少しゆっくりにする。それだけで、全体のスピードを遅くしているわけではないのに、とてもエレガントな雰囲気になります。たったこれだけですが、相手に与える印象は変わります。

私の生徒さんで事務職から秘書に抜擢された方も、

「日ごろの丁寧な所作が、秘書向きで素晴らしいですね」

と言われての人事異動だったとのこと。そのように太鼓判を押される彼女の所作は、たしかに安心感と目の前の方への思いやりに溢れる、とても美しいものでした。

私も彼女の所作を見ていて、真の高級感とは、お高く冷たいイメージなのではなく、温かみを感じさせるものなのだと、気づかされました。