年間1000万円でも高くないと富裕層が考える理由

前述したようにハロウ校のようなインターナショナルスクールに通わせるには年間1000万円必要になります。

それでもわが子を入れたいという富裕層たちは「高くない」といいます。それはなぜか。

IT企業経営者は、海外のプログラマーの給料を知っています。Amazonは、エンジニアを確保するために基本年収を4000万円に引き上げました。グーグル、Facebookなど海外企業の給料体系は、すぐに出てきます。そして、経営者は、投資で稼ぐコツを知っており、その投資のキーになるのが人脈であることも知っています。

ハロウ安比校に入学させる保護者は、世界で成功している富裕層であり、同窓生の保護者ネットワークが新たなビジネスチャンスにつながるのです。

イギリスのボーディングスクールに通い、コロナで日本に帰国した高校生のA君にルームメイトについて聞いた時、彼は「中東の産油国の王子だった」と答えました。この人脈こそが、年間1000万円という教育投資の最大のリターンなのです。

ハロウインターナショナルスクールの生徒たち
写真提供=Harrow International School
ハロウインターナショナルスクールの生徒たち

ボーディング人脈の活用は国益になる

ハロウ安比校で6年間を過ごすことで、その生徒は世界の王族や貴族をはじめ政財界の有力者とつながることができます。こう書くと、金持ちだけが、金持ちネットワークを使って、うまい汁を吸うだけの話に聞こえるかもしれません。しかし、これは国益にかなうことなのです。

過去の例で、ボーディングスクールがあれば国益が守れたのでは、と筆者が思うケースがあります。

資源が乏しい日本では戦後「日の丸油田」を持つことを国策として進めてきました。そのかいがあって1957年には、日本のアラビア石油がサウジアラビアとクウェートで油田の採掘権を獲得しました。しかし、契約更新の際に交渉に失敗し、2000年にサウジアラビア、2003年にクウェートで採掘権を失ってしまったのです。

相手国の国家元首が国王の場合、最終的な決裁権は国王にあります。この時にサウジアラビアやクウェートの王子と同じボーディングスクールに通う人材がいれば権益を守れた可能性があります。

採掘権の更新前に王族が通うボーディングスクールに子どもを通わせ、保護者として家族ぐるみの関係になっていれば王族と直接交渉が可能です。寮生活を共にした仲間は兄弟も同然。強い信頼関係で結ばれています。人脈は資産であり、代々受け継ぐ仕組みがボーディングスクールに組み込まれているのです。

そして、こうしたボーディングスクールが日本に開校することは、日本ファンを増やすと同時に日本への投資の導線につながります。ハロウ安比校は、地元やスポーツや科学、アートなどで優秀な成績を収めた子どもたちへの奨学金制度も導入します。

自分とは関係ない富裕層の話と考えず、日本でもボーディング人脈を積極的に活用していってほしい。筆者はそう思うのです。

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