このままズルズルと娘をあの男と結婚させていいのだろうか。1人の年頃の娘を持つ父親として悩んでいたのであろう。

そのことは、次の訪問で明らかになる。

「突然、『これだけ週刊誌でいろいろと書かれているのだから――』と雄弁に語り始めた。(中略)書かれている金銭トラブルは全て、小室家の話だ。秋篠宮家は、まったく関係ない。だから、きちんと国民に対して説明するように本人に話してある……』

秋篠宮が小室圭への不満について、自分から進んでしゃべったことはこれまでなかった。何かが彼の中で大きく変わったようだ」

江森氏によると、小室圭さんはもちろんのこと、彼の母親も何度も呼び、国民に対してきちんと丁寧に納得のいく説明をせよと要求したという。そしてこういった。

「今のままだと納采の儀は行えません」

その年の11月の誕生日会見で、そう語ったが、7カ月も前から秋篠宮は決意していたのだ。

だが、秋篠宮が投げたボールが、小室圭側から返ってくることはなかった。それだけではない。アメリカで弁護士資格を取るために、ニューヨークへ“逃げ”てしまったのだ。

そうした相手側の対応に業を煮やしたのだろう。11月の誕生日会見で秋篠宮は、相応の対応をして、多くの人が納得し、喜んでもらえる状況にならなければ、納采の儀は行えないといい切ったのである。

東京の皇居
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割り切れない態度が国民からの批判を招いてしまった

いくら鈍い人間でも、秋篠宮の怒りは分かったのだろう。翌年1月に小室圭さんは、「金銭トラブルはすでに解決済み」という、秋篠宮の心を逆なでするような文書を出すのである。

秋篠宮は、この文書をどう思うかと聞いても、口を開かなかったそうだ。それは、眞子さんの気持ちには揺るぎがないことを物語っていたと江森氏は推測している。

あのような無責任な男のことを思い切れない娘に、諦めにも似た感情が秋篠宮の中にあったのかもしれない。

2021年4月に、小室圭さんは膨大な文書を公表した。そこで自分側のいい分を詳細に書き連ねてはいるが、金銭トラブル解決が頓挫していることも明らかにしていた。

江森氏は、この問題に強い関心を持っている理由を2つあげている。1つは、特別な立場だと見られている秋篠宮も、娘の結婚問題では苦悩していること。2つ目は皇族という立場にあっても、秋篠宮も国民と地続きの葛藤を抱えていることを知ってもらって、皇室をより身近に考えてもらいたかったというものだ。

江森氏のいうとおり、娘の結婚問題で、秋篠宮がうまく立ち回れたとは、私も思わない。

失礼だが、秋篠宮の優柔不断とも思えるやり方が、娘を頑なにし、国民からは、もっと毅然と対処すべきではないかという批判を招いてしまったのではないか。