「党課」=社員教育という側面
国家電網党校(管理学院)党建研究課題グループによる『国有企業党支部業務指導ハンドブック』によれば、企業内党組織における「党課」の教育内容は次のようなもので、党員としての面だけではなく、社会人としての側面からも教育が施されることに特色があります。
(1)習近平思想や過去の指導者の政治思想に関する政治思想理論やその精神の教育。
(2)党の基本方針や重要政策に関わる教育。
(3)党章と党の基本知識に関わる教育。
(4)時事的な状況に関わる政策やタスクの教育。
(5)党の伝統や風紀の教育。
(6)党員の現実思想の教育。
(7)市場経済知識や科学・文化知識の教育。
(8)専門知識教育。
(9)企業文化教育。
(10)廉政(クリーンな政治)のための教育。
(11)社会主義核心価値観や中華民族の伝統美徳に関わる教育。
以上のうち、「(1)習近平思想や過去の指導者の政治思想に関する政治思想理論やその精神の教育。(2)党の基本方針や重要政策に関わる教育。(3)党章と党の基本知識に関わる教育。(5)党の伝統や風紀の教育。(10)廉政(クリーンな政治)のための教育。(11)社会主義核心価値観や中華民族の伝統美徳に関わる教育」等は、大学の党支部で入党希望者に施される教育とそう大きく変わらないテーマであり、企業以外の党組織でも行われているものです。
ですが、国有企業の党組織の場合、これらのテーマが、そのまま、企業の内部統制やコンプライアンス、また、CSRといった内容と関連している点で、社員教育という側面をも併せ持っています。
社会人としての教養を高める項目も
他方、「(4)時事的な状況に関わる政策やタスクの教育。」は航空宇宙産業や防衛産業、また、インフラに関わる産業などでは、業務の遂行や今後の経営方針とも関わる重要なテーマとなります。また、「(7)市場経済知識や科学・文化知識の教育。(8)専門知識教育。(9)企業文化教育。」等は、中国共産党員としてのテーマというよりは、職業人として必要なテーマとなります。
これらは大学等の教育機関の党組織では扱うべきではない内容になります。教育機関であれば、これらの内容は「党課」以外の普通の授業や研究で扱うべきものです。
共産党支部で行われている教育
「党課」とは別に、党支部(3~49名の党員で構成される中国共産党の基本的な組織)でも党員の教育が行われます。
学習時間を比較すると、こちらのほうが党課よりも長いものになります。党支部での教育の内容は、過去の指導者の政治思想や習近平思想、党の方針や政策などの党の基本知識のほかに、科学・文化知識や業務知識を学習する点に特色があります。
党支部における学習時間はそれなりに長いものです。国有送電会社の国家電網の場合、党支部書記の場合は1年間で45~50分の学習を計56コマ修めます。同社では、一般党員の場合も、45~50分の学習を1年間で32コマ修めます。
党支部書記の場合は1年に1回の短期集中トレーニング履修が推奨され、一般党員の場合も、1カ月の学習時間が6時間以上であるよう求められます。
また、一般党員の場合、半期ごとに、学習内容の要約あるいは決意表明のレポートを2篇以上、提出しなければなりません。