当たり前だが、社長・役員となって功成り名を遂げる勤め人はごく少数。それ以外の40代、50代にとって、会社で勝負がついた後の人生の長さが、下手をすると入社から現在までに匹敵するのは悩ましいところ。これまでの会社人生を振り返り、アイデンティティが確立されないまま、定年を迎えることに不安を覚える人も少なくないという。「プレジデント」(2022年6月3日号)の特集「『捨てない』生き方」より、記事の一部をお届けします。
東京・赤坂見附にある昼スナック「ひきだし」のママ、木下紫乃さん。本業は中高年のキャリア支援事業。法人向け研修やフォローアップのほか、個人向けのワークショップやセッションも行っている。
撮影=萩原美寛
東京・赤坂見附にある昼スナック「ひきだし」のママ、木下紫乃さん。本業は中高年のキャリア支援事業。法人向け研修やフォローアップのほか、個人向けのワークショップやセッションも行っている。

「オレもここまでかな」と思ったらやること

“40~50歳代の大部分の何者にもなれない大多数の勤め人”“キャリア論は若者向けばかり”(すらたろう@sura_taro)――2022年2月、中高年の悲鳴とも哀愁とも取れる呟きが、ツイッター上で注目を集めた。

当たり前だが、社長・役員となって功成り名遂げる勤め人はごく少数。それ以外の大多数は、世間的にはただの人だ。そうした人々が「何者にもなれなかった人」に当たるのであろう。

その人たちが懸念するのは、会社で勝負がついた後の人生の長さが、下手をすると入社から現在までに匹敵することだ。退職金に頼らず20年、30年と働く覚悟を決めねばならない。

「プレジデント」(2022年6月3日号)の特集は「『捨てない』生き方」。日本人はいつから、こんなに捨てることが好きになったのだろう。断捨離、片づけブームが長くつづく一方で、捨てられないことに罪悪感を感じている人も少なくないはず。本特集では、捨てないことで孤独を癒やし、人生にとってほんとうに大切なものを手に入れるためのヒントを探っています。ぜひお手にとってご覧ください。