生ハムやチーズは何を買ってもお買い得

ですから最初の着眼点は成城石井の強みの原点であるワインに注目することです。とは言っても、実は「ワイン周り」と言った方が正確です。なぜなら、ワインは70年代と違い、2020年代の今では他のお店でも輸送品質が上がってきたからです。ボトルワインはその後、他の小売店が成城石井の同質化に成功してきた。そこで経営コンサルタントとして注目するのはむしろワインのおともである生ハムやチーズといった商品です。ここはある意味、何を買ってもお買い得です。

成城石井のチーズのラインナップは見ていてとても楽しい。1パック300円ぐらいから600円ぐらいの価格帯のナチュラルチーズやプロセスチーズで、選び方がわからない人はヨーロッパ産の商品でPOPが黄色の商品を手にするとまず間違いがないと思います。成城石井のPOPはおすすめが黄色なのですが、正直な社風なのでそのおすすめに乗ればいいのです。

同じく生ハムもヨーロッパ産のお買い得な商品がおすすめかと思います。今回私はイタリアの生ハム・プロシュートのいわゆる切り落とし部分を1177円で購入しました。この生ハムとナチュラルチーズとコーヒーで朝食をとるのが実は私の日課です。

筆者が購入した生ハム
写真=筆者撮影
筆者が購入した生ハム

惣菜とスイーツはいろいろ試したほうがいい

さてお買い得な商品を見分ける第二の視点は、成城石井の差異化戦略として成城石井オリジナル商品に注目することです。特に買うべきは惣菜とスイーツです。これは何度もメディアで取り上げられているので有名な話ですが、ほとんどのスーパーのポテトサラダはジャガイモの皮を機械でむくのですが、成城石井のポテトサラダはジャガイモを手でむきます。こだわりの理由が「じゃがいもの一番おいしい部分は皮のすぐ下の部分だから」というもので、言われてみればその通りです。

成城石井自家製の惣菜にはかならずPOPにこだわりの理由が書かれています。たとえば牛タンカレーには淡路島産のフライドオニオンが添えてありますが、淡路島の玉ねぎが甘いことを知っている人にはこのこだわりは大きなプラスポイントです。それでいて1パック539円ですから確かに食指が動きます。

ただ、これはセブンプレミアムでも同じなのですが、こだわりのオリジナル商品にはどうしても当たりはずれがあるものです。ある程度常連になって自分の中で納得がいったものを自分の定番リストに加えていく地道な努力も必要かもしれません。

私のおすすめを挙げると、スイーツでは「バスクチーズケーキ」431円は日本で流行り始めた当時、コンビニや外食各社のものと比較しても成城石井のオリジナル商品がチーズの濃厚さで抜きんでていた記憶があります。定番スイーツの「フォンダンショコラ」388円もフランス製のチョコレートの濃厚さは成城石井オリジナルが群を抜いています。

筆者が購入した「バスクチーズケーキ」(右)と「フォンダンショコラ」(左)
写真=筆者撮影
筆者が購入した「バスクチーズケーキ」(右)と「フォンダンショコラ」(左)