「トイレへの恐怖」に対処するだけでも気が楽になる

働く人の便秘の原因としては、精神的な要素があることも挙げなければならないでしょう。人によっては同じ精神的要素が下痢という症状で出る人もいます。

先に述べたように、食べたものの消化、吸収、排便の一連の流れは、意識的にはコントロールできない自律神経の働きで調整されています。そして、ちょっとした緊張やストレスに敏感な人ほど、この調整が崩れてしまうのです。

自分の緊張やストレスの原因を知り、それに対処できればベストです。しかし、緊張やストレスの原因は必ずしも分かることや、分かったとしても対処できることだけではありません。そのような時は、まずは、トイレに間に合わないかもしれない(漏らしてしまうかもしれない)という不安や恐怖に対処することで、だいぶ気が楽になれます。

上手なリラックス方法を見つけるほか、通勤途中は、どこのトイレが比較的きれいですいているか、社内だとどのタイミングならトイレに行きやすいか。こういったことを把握できるだけで、不安や恐怖は減ります。そのことが緊張を和らげてくれ、症状改善の一歩となることが多いようです。

公衆トイレのピクトグラム
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働く世代の便秘薬は「ゆるくする薬」で十分

排便は必ずしも毎日ある必要はありませんし、必ずしも毎回すっきりする必要もありません。

お腹が張ったり重くなったり不快になったりしない程度の期間で排便があるのであれば、薬は飲まず、日頃いろいろ気をつけることで対処することが自然かと思います。つまり、排便が毎日でも、3日ごとでも、1週間ごとでもいいのです。ただし、5日以上出ない人はほとんどが何らかの不快感を感じているのが実情です。

便秘の薬は大きく分けて3つあります。便をゆるくする薬、腸を刺激して便を押し出す(イメージ)の薬、おしり(肛門)を直接刺激して排便を促す座薬です。座薬は主に先の2つのタイプの薬でも効果がない高齢者に使用されることが一般的です。働く世代の多くの大腸は、便を押し出す力は十分に持っていますので、上記の便をゆるくする薬を飲み、飲食生活と運動を気をつけていただければ便秘問題は解消することが多いです。