円安が急ピッチで進んでいるが、そもそも円高・円安とは何か。また、為替レートの価格が上下するメカニズムはどんなものか。元大蔵省(現財務省)官僚で投資顧問会社顧問の中野博幸さんがわかりやすく解説する――。

※本稿は、中野博幸『これだけは知っておきたい「為替」の基本と常識』(フォレスト出版)の一部を再編集したものです。

「円安」と書かれた新聞の見出し
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円高・円安って何?

「高・安」は円の価値をあらわしている

▼「1ドル100円」ってどういう意味?

テレビニュースなどで「為替が1ドル100円」という言い方を耳にします。「1ドル100円」とは1ドル=100円、つまり1ドルと100円が同じ価値であることを意味しています。

「1ドル100円」のときに海外旅行に行くとしましょう。100円を持って両替所に行き、「アメリカに行くのでドルに替えてください」と言うと1ドル受け取れます。その人はアメリカで1ドルのモノが買えます。この1ドルのもとは100円です。

同じように、「1ドル100円」のときにアメリカ人が両替所で、「日本に行くので円に替えてください」と言って1ドル渡すと100円受け取れます。その人は日本で100円のモノが買えます。この100円のもとは1ドルです。為替が「1ドル100円」とはそういうことです。

では、「円安」「円高」とは? ニュースで「円相場が昨日より30銭高くなり……」などと言うのを聞きますが、数字を見ると30銭少なくなっています。

「円が高くなる」とはどういう意味なのでしょうか。「円が高くなる」ことを「円高」といい、「円の価値が上がること」を意味します。何に対して価値が上がったのかといえば、ドルやユーロなどの「外国通貨」です。

つまり、「円相場が昨日より30銭高くなり」と言うときは、ドルなどの外国通貨に対して、昨日より円の価値が30銭高くなったと言っているのです。もう少し具体的に説明しましょう。