「私たちの生活は彼らのサポートで成り立っている」

3月末からロックダウンが続いている上海市で、あまりに残酷な格差問題が相次いで報じられ、多くの中国人も愕然とする事態になっている。

2022年4月23日、中国上海で、ロックダウン(都市封鎖)下の住民のための食料を運ぶ人。
写真=EPA/時事通信フォト
2022年4月23日、中国上海で、ロックダウン(都市封鎖)下の住民のための食料を運ぶ人。

4月18日、上海市在住の女性が、SNSにデリバリーの配達員の動画をはりつけ、「私たちの便利で快適な生活は彼らの影のサポートによって成り立っているのだということを、今回思い知りました。ありがとう。配達のお兄さんたち!」というメッセージを添えていた。同じ動画は私のSNSの友人だけでも3人シェアしており、「彼らこそ真の英雄だ! 感謝!」「このメディア、いい報道をしたね!」などと書かれていた。

その動画とは、4月17日の夜11時過ぎに撮影されたもので、上海人民ラジオというメディアで流れた約3分半の映像。上海市の武寧路橋という橋の下にあるやや広い空間に、デリバリー配達員の男性たちが寄り集まり、吹きさらしの野外の床で寝泊まりし、配送の仕事を続けているという内容だ。

そのほとんどは地方出身の出稼ぎ労働者たち

インタビューに対し、ある配達員は「家をいったん出たら(ロックダウンになったので)もう解除になるまで戻れないといわれた。たとえ陰性証明があっても、ホテルにも泊まることができないので、ここで雑魚寝しながら仕事を続けている」と話す。別の配達員は「今日の稼ぎは60元(約1200円)だった。注文を受けて、開いている店を探し回って、リンゴや調味料などを買って、お客さんに届けるまでに1時間くらいかかった」と話す。

動画を見る限り、彼らの寝床は、冷たい地面に直に薄い布団を1枚敷いただけで、ほぼ「野宿」といえるような状態。橋の下とはいえ、強い雨でも降れば濡れてしまいそうで、4月とはいえ寒さが身に染みるようなところだ。

配送の仕事をしているのは、上海の地元民ではなく、ほとんどが農民工と呼ばれる、地方出身の出稼ぎ労働者たちだ。ここ数年、デリバリーの需要が爆発的に増え、彼らの月収も5000~9000元(10万~18万円)くらいにまで増えたが、収入は不安定で、体力を使う厳しい仕事。ロックダウンになった当初、彼らの仕事も一時減少したが、毎日PCR検査を実施し、このような野外に宿泊スペースを作って配送に出かけており、何とか食いつないでいる人が多い。