辞める新入社員は「自分と他人を比較」する

私が産業医として勤務する会社では、昨年は入社してすぐに辞めてしまう新入社員はいませんでした。これは転職への不安が抑止力になったことが大きいと思います。

しかし、入社して3年以内に辞めてしまう新入社員もいることも事実です。そのような社員たちには2つの共通点があります。

1つめは、常に自分を他人と比較していることです。

社会人になったら他人と自分を比較してはいけません。その理由は、他人と比較することは高い確率で自分を楽にはしてくれないからです。

多くの新社会人は今まで、同学年の人と比べることで、「自分のレベル」を把握していました。しかし、社会人になると、自分より30学年以上年上の人もいます。しかも全員新人の自分より仕事を知っている人たちです。そのような人たちと自分を比べても、落ち込む以外ありません。

オフィスで落ち込んでいるビジネスマン
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社会人が比較すべきは「過去の自分」だ

また、一般的に会社にはレベルの近い人が集まることが多いため、今まで平均より上だった人も、新しい集団では半数が平均以下になってしまいます。他人と自分を比べること自体が間違っているのです。

そして、他人と自分を比較する人の中には、その比較した他人を追い越した時点で満足してしまい、成長が止まってしまう人もいます。

しかし、社会人は、昨日の自分よりも今日の自分、先月よりも今月、1年目よりも2年目と、過去の自分よりも成長していることが最も大切です。これから30年以上続く職業人生上、大切なのは現時点での能力よりも、個としての成長と、それによる「これからの」能力なのです。いずれ自分はできるようになれるという、揺るがない信念をもっていればいいのですが、他人と自分を比較する人はどうしてもそうは思えないようでした。