少年野球人口がどんどん減っている
岡田監督は子供たちが「野球ってこんなんなん」となんとなくわかってさえくれれば、それが将来につながると信じている。
野球界の誰もが抱く根底にある危機感。それは、少年野球人口の減少だ。全日本軟式野球連盟によれば、約40年前に3万近くあった学童野球チームは、1999年度に1万5000を下回り、2020年度はついに1万強にまで減少した。
この野球教室の狙いも、本音を言えば幼少期から野球に興味を持ってもらうところにある。
「野球界はぶつ切りされています。他の競技と違って、制約があって高校は中学校と繋がれない。垣根をとっていく形ができないかと」
中学生が硬球に触れたり、高校生から技術指導を受けられたり、流れで試合ができれば……。今はそういう状況にはない。
ならば下の世代、小学生以下の子供たちがターゲットになる。
「香里(香里丘)のお兄ちゃんたち、優しいなと思ってもらえればうれしい。何年後かにあそこに入学して野球部に入る、となれば最高。でもまあ、野球をやってください、と力まずに、サッカー部に入るならそれでもいいし(笑)」
子供に同伴する父兄も多く、子供たちのはしゃぐ様をハンディカメラやスマホで撮っている。
「近所の子が多く、親御さんが一緒にくるんです。子供が楽しそうなら親も楽しいでしょう。家に帰って、『楽しかった?』『また、行く』と発展する。その延長線上で、大きくなったら野球する、となってくれればええかなと。システムづくりなんていう大仰なものではなくて、楽しい雰囲気を感じ取ってくれたら十分かなと思います」
こういうイベントはシーズンオフの冬にやることが多い。今回は3月の春休み中、練習試合が組まれたタイミングで相手の牧野高校も快諾してくれた。両校の部員の共同作業ということにも意義がある。
「6、7月のトップシーズンは難しいかもしれないですけど、2カ月に1回ぐらいはやってもいいかな。認知度も上がって身近に感じる人が増えていってくれれば」と岡田監督。
メニューや進行は、高校生に任せている。最後に行ったゲームは彼らが考えたもので発想力、想像力も試され、子供たちと触れ合って、逆に元気をもらえることもできるという。