(1)マーケティング・マネジメント
  フィリップ・コトラー

(2)ポジショニング戦略
  アル・ライズ、ジャック・トラウト

(3)売れるもマーケ当たるもマーケ マーケティング22の法則
  アル・ライズ、ジャック・トラウト

(2)の著者アル・ライズは、ブランドポジショニングという概念を確立した著名な広告マン。多くの実例を引きながら、まず自分の立ち位置を決めよと著者はいう。(3)は(2)の概念の柱になる考え方を引き継いだ本。私自身、「アクエリアス」の販売戦略において大きな示唆を受けた。先行する他社製品が存在する中で、アクエリアスを「単純な水分補給飲料」ではなく、「スポーツ科学飲料」と定義しポジショニングを明確にしたのだ。そのために運動をする際に必要な飲料であることを科学的なデータをもとに強調し、CMに北島康介さんをはじめとして多くのスポーツ選手を起用した。

(4)こころを動かすマーケティング
  魚谷雅彦

私がこれまでマーケターとして携わってきた経営戦略について、体験や思い、経営哲学をもとに、具体的なストーリーとともに一冊の本にまとめたもの。お客様のこころに届くマーケティングを実現するには、事業に関係するすべての人たちのこころを動かしていく必要がある。何よりも、そのことを伝えたかった。

(5)私の行き方 阪急電鉄、宝塚歌劇を創った男
  小林一三

阪急電鉄や宝塚歌劇団の創設者である小林一三の「行き方」をまとめた本。最近は入手困難なので、作家が書いた伝記などを読んでもいいだろう。

(6)「思考」のすごい力
  ブルース・リプトン

著者は世界的な細胞生物学者。生物のすべてはあらかじめDNA(遺伝子)に組み込まれている、というパラダイムを打ち破った。「病は気から」という言葉のとおり、自分の生き方や環境、信念が細胞を変え、遺伝子のふるまいを変えるというエピジェネティクスの考え方を提唱している。

(7)これから資本主義はどう変わるのか
  ビル・ゲイツ、ムハマド・ユヌス、ビル・ドレイトン、田坂広志ほか

リーマンショック以降の、さまざまな提言がまとめられている。今後の新しい資本主義の在り方、私たちの働き方について、ビル・ゲイツ、ビル・ドレイトンなど、影響力を持つ著名人の考え方が興味深い。いまは危機のただ中にあるが、長い目で見ればよい方向へ向かっているというのが彼らの立場。たとえばゲイツは、資本が生み出した利益を難病の薬を開発する会社に寄付すれば、世界の福祉に役立つという。ものごとを前向きにとらえるところが、日本人とは発想が異なり興味深い。

※すべて雑誌掲載当時

(面澤淳市=構成 市来朋久、佐粧俊之=撮影)