Redditの広がりは、「実名経済」から「偽名経済」への変化の一端とも考えることができます。偽名経済でも、過去に蓄積した評価という指標があれば、インターネット上では問題なく情報発信をすることができ、影響力を持つことができるようになっています。

今後、具体的な生情報を求めるユーザーたちは、評価経済の仕組みをたくみに導入している場所で、偽名の個人が提供する情報を取り入れることが多くなるかもしれません。

Google検索は生まれ変わることができるのか

このように、Google検索結果の質が低下してきているという問題は、単にGoogleの問題だけでなく、ウェブサイト全体のエコシステムが近年大きく変革を遂げていることの象徴でもあることが分かります。

情報が分散化し、有名メディアなどの権威がある情報元以外にも、評価経済の仕組みにより信用を得た個人が影響力を持ち、さまざまなプラットフォームで情報発信ができるようになりました。さまざまなSNSアプリが存在し、ユーザーはアプリごとに使い分けを行い、特にZ世代は、求めている情報をアプリ内で直接検索をする傾向が強くなっています。

シアトルのサウス・レイク・ユニオンにあるグーグル本社・日没時
写真=iStock.com/400tmax
※写真はイメージです

とはいえ、Googleが非常に高い検索技術を有していることは間違いのない事実であり、新しい検索エンジンのスタートアップも登場しているものの、Googleほどの使いやすさではないことが多いのが現実です。また、Googleの広告収入は伸び続けている現状から分かることは、広告主にとって価値の高いツールであるということです。

いずれにせよ、Googleがこの状況に何ら対策を講じないとは考えにくく、「Google検索は死にかけている」と題するブログ記事に書かれているような、Google検索に不満を持ち始めているユーザーの声を無視することはできません。

例えば、今まで検索でクローリングできなかった情報サイトを検索可能にする、あるいはGoogle検索結果という世界で、より信憑性の高い個人が発信する生情報を増やしていくことになるでしょう。

ビジネスとしての拡張性を含め、新たな展開を見せてくれると思います。

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