がん細胞を攻撃するキノコ類をたくさん食べるには

さらに、ハナビラタケ、干しシイタケ、シメジ、キクラゲ、エノキなど、キノコ類にはがん細胞を攻撃、殺傷する2次免疫(獲得免疫)を高めるβグルカンが大量に含まれています。とくにハナビラタケはその含有量が多いことで知られています。

ただし、キノコ類を毎日、大量に摂取することもまた容易ではありません。また、キノコ類に含まれるβグルカンを取り出すためには加熱も必要になります。

そこで、私のクリニックでは、すり潰したキノコ類に加熱した出汁を加えて作る「キノコペースト」の摂取を推奨しています。ペースト状にすることで、保存が可能になるほか、使用の選択肢も広がるからです。一例としては、玄米にキノコペーストを加えて炊く、といった使い方もオススメです。

「甘いケーキ」はがん細胞にとってもおいしい

牛乳、バター、チーズなどの乳製品には、がん細胞の活動活性を上げるIGF-1(インスリン様成長因子)が多く含まれています。よく「体にいい」と言われているヨーグルトもその意味では例外ではなく酸性化食品なのです。チーズやバター、とりわけチーズの酸性化力は強烈です。

したがって、乳製品の生クリームがたっぷりと載った甘いチーズケーキなどは、がん細胞にIGF-1とブドウ糖を与え、かつ、がん細胞周辺の微細環境をがんが好む酸性に傾けるという点で、「最悪の食品」と言っていいでしょう。

私のこれまでの臨床経験から見ても、とくにがんにかかった女性の患者さんの場合は、「甘い洋菓子」などの甘味品を多食していたという傾向が顕著に見られます。

したがって、私のクリニックでは、このような食歴を持つ患者さんに対しては乳製品や甘味品の「即時摂取中止」を指導しています。実際、多くの患者さんが乳製品や甘味品の即時摂取中止をはじめとする食生活の見直しによって劇的寛解を得ているのです。

健康面でメリットしかない食品や飲料などない

ただし、乳製品、とくにヨーグルトなどには、腸内細菌叢、いわゆる腸内フローラを整える効果があります。そして、腸内細菌叢が乱れるとがんにかかりやすくなることが知られているのです。

それらの点を考慮した上で、私のクリニックでは玄米を玄米麹で発酵させた特製の甘酒を甘味品や調味料として推奨することもあります。発酵食品には腸内細菌叢を整え、2次免疫力を上昇させて、がん細胞の活動活性を抑止する働きもあるからです。

突き詰めて言えば、がんや生活習慣病に対してメリットしかない食品や飲料などこの世に存在しません。食品や飲料の持つメリットとデメリットを天秤にかけ、治療効果の上がる最適な組み合わせを選択していくことが肝要となるのです。