「怒り」はなかなか消えてくれない。特に相手が、毎日顔を突き合わせる家族となると、過去の怒りを思い出させられる機会も多く、怒りに振り回されてしまいがちだ。アンガーマネジメントに詳しい戸田久実さんは「こうしたしつこい『思い出し怒り』に対処するためには、怒りの気持ちを上手に相手に伝えることが大切だ」という――。(第1回/全2回)
※本稿は、戸田久実『「あとから怒りがわいてくる人」のための処方箋』(新星出版社)の一部を再編集したものです。
夫婦ゲンカのたびに思い出す、妻の言葉に余計に腹が立つ
夫婦ゲンカのときに、「たいした仕事もしていないくせに」と妻から言われたことがあります。「そんな言い方をしなくてもいいのに」と、あとになってから傷ついた自分に気づきました。いまでもケンカになるとそのときの怒りがよみがえり、感情的になってさらに言い争ってしまうという悪循環を繰り返しています……。(会社員S太・40代)
何にどう傷ついたのかを相手に伝える
「夫婦ゲンカで言われた言葉がずっと心に刺さっている」という悩みは少なくありません。今回のケースの場合、普段の生活では悶々とした怒りまでは感じないものの、ケンカになると当時の怒りがよみがえってくるそうです。
怒りが再燃したときは、ケンカというシチュエーションではなく、落ち着いて話せるタイミングで話しあうことが重要です。
ただし、冷静になろうとして「こんなことを言ったら、相手がどう思うかわかる?」ととがめる言い方はしないようにしてください。相手が責められていると感じてしまうことがあるからです。
「仕事をがんばっているので、そうは言わないでほしかった」ということと、言われてどんな気持ちになったかという自分の気持ちを添えて伝えるようにしましょう。
×「なんでそんな言い方をするんだ!」
◎「一生懸命仕事をしているのにそんなことを言われて、悲しかったし、悔しい思いをしたんだ」
◎「ちょっと前のことで申し訳ないけど、こういうふうに言われたことがずっと気になって引っかかってしまっているんだ。たびたび思い出すくらい悲しかったから、もう言わないでほしいんだ」
このように、自分の思いを伝えることが大切です。
とくに男性の場合、自分の感情に気づきにくく、気持ちを伝え慣れていない人が多い傾向にあります。事前に考えをまとめておくようにしてみてはいかがでしょう。