「ゼロベース思考」は、過去の経験から積み上げた前提知識や思い込みをいったんゼロにして物事を考えることです。期や年度など一定のサイクルで過去の資産をクリアにし、「利用者に提供する価値」に集中して、システムを極限までシンプルに一新させる意識と機能を持ちましょう。

「ダブルループ学習」は、複雑な問題の根本を考え、真因を改善することです。発生した問題に対して、既存の目的や前提そのものを疑い、そこから軌道修正を行います。過去の学習や成功体験をもとに問題解決を図る「シングルループ学習」では、本質的なエラーは除外できません。

多くの場合、短期業績に直結する対症療法は行っても、根治療法については時間の経過とともにウヤムヤになってしまうことが多いですが、より重要なのは根治療法なのです。

「やる気を出せ」という上司は論外

「透明のチカラ」は、よく先進的な自律型組織が、統制の代わりに導入しています。例えば、企業は経費を削減するために、何重にも管理者を配置し、稟議システムで「統制」してきました。

斉藤 徹『だから僕たちは、組織を変えていける』(クロスメディア・パブリッシング)
斉藤徹『だから僕たちは、組織を変えていける』(クロスメディア・パブリッシング)

では、経費をすべて「透明」にしたらどうなるでしょう。誰が何にいくら使用したかが誰でも閲覧できるようになれば、説明責任が生じ、共感や評価を得られない無駄な経費は激減していくでしょう。

定期的な「ゼロベース思考」に、問題発生時の「ダブルループ学習」を組み込み、複雑なルールには「透明のチカラ」の活用を考える。これによって組織はリフレッシュされ、チームの「やらされ仕事」は減り、組織のパーパスに基づいて「顧客のため」「社会のため」を自律的に考える余裕が出てくるのです。

ビジネスの場では、社員は常に評価され、賞罰に結びつけられます。失敗をした際に「問題の真因を究明し、そこから学ぶ」という実り多き課題に取り組まず、アメとムチによって「失敗をしないように統制すれば解決する」と考えてしまうのです。

一方で、外発的動機づけに対するデシの見解はこうです。

「報酬は、それとはわからないぐらい目立たずに与えるほどよい。意欲を高めようとして安易に賞罰を用いるときが、メンバーの意欲を最も失わせるときだ。かわりに、人間が持つ心理的欲求が満たされる環境を築くことに、リーダーはもっと努力を傾けるべきなのだ」

チームにやる気を出してほしいなら、リーダーは「やる気を出せ」と厳しく言って管理を強めるのではなく、メンバーが「自分で考え」「能力を発揮できて」「良い関係性でいられる」ための努力をしていきましょう。

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