春は出会いの季節。マッチングアプリを利用して彼氏彼女、結婚相手を探そうとする人も多いだろう。だが、ルポライターの多田文明さんは「マッチングアプリ運営会社はユーザーの本人確認をしているが、方法が杜撰ずさんなところが多く、偽造証明書が審査を通過してしまい、詐欺被害が発生している」と警鐘を鳴らす――。
スマートフォンを使用するビジネスパーソン
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2018年386億円→2026年1657億円「市場拡大」の中で

スマホのマッチングアプリで出会い、一度も対面しない人と交流をするといった行動が日常的になってきています。しかし、ネットでは何者にもなりすませるために、悪事をたくらむ者たちによるトラブルや事件が絶えません。

恋活・婚活マッチングサービスの市場は、2018年に386億円の規模でしたが、2021年は768億円、そして2026年には1657億円(21年比2.2倍)になると見込まれています(タップル、デジタルインファクト調べ)。18年からたった8年で4倍に拡大するのです。

心配なのはマッチングアプリにおける詐欺被害の増大です。現在すでに、外国人になりすました異性にお金を騙し取られる国際ロマンス詐欺や、出会った日本人相手から結婚をにおわせられての詐欺被害などがしばしば報じられています。一部には、マッチングアプリ=「犯罪者との出会いの場」と見る人さえいます。

被害を防ぐ方法はないのでしょうか。

マッチングアプリはインターネット異性紹介事業で、出会い系サイト規制法の適用を受けます。運転免許証などの身分証で利用者が18歳以上であるかの年齢確認が必須です。

多くのマッチングアプリではHPで「年齢確認とともに提出された身分証などで、本人確認を行っている」と書いています。しかし、一部には審査がザル状態のものもあります。

例えば、登録する際に偽造されたパスポートなどの身元確認の書類を送り、それがすんなりと審査を通ってしまう事案が多数発生しています。それにより、アプリ上で堂々と詐欺のアプローチが行われています。厳格ではない本人確認のアプリは悪だくみをする人にとって「詐欺天国」に見えるかもしれません。審査はしっかりしているアプリと、しっかりしていないアプリ。ユーザーには見分けがつきません。