存在するいくつかの仮説
<低線量被ばくに関する仮説(線量反応曲線)>
この図は、100ミリシーベルト程度以下の被ばくが健康にどのように影響を及ぼすのか、いくつかの「仮説」や「学説」をグラフで示したものです。
線量と影響との関係を示すこのようなグラフは、「線量反応曲線」と呼ばれます。そして、低い線量の被ばくについて、どの曲線が科学的真実に最も近いのかについては、意外にも、科学者の間でも結論が出ていません。
図で青い直線で描かれているのがLNTです(図の1)。100ミリシーベルト以上の線量の被ばくと健康への影響(がん化)を調べた複数の研究成果(●で示しました)によって判明してきた線量と反応の大きさの比例関係が、研究成果のない100ミリシーベルト以下でも成り立つものと仮定して、それを低線量側に引き伸ばして、この直線は作られています。
直線的な比例関係ではないが、線量が大きければ影響も大きいという説(図の2)や、一定の量までは健康に影響がなく、そこから線量依存性がはじまるというしきい値「あり」仮説(図の3)などが仮説としてあり得ます。また、図の4として描かれているのはホルミシス仮説といい、少量の放射線を受けると「かえって健康にいい」とする人たちは、この仮説を信奉しているというわけです。なお、ホルミシス仮説は多くの学者の支持を得てはいません。