どんな落ちこぼれでも合格できる可能性のある慶應義塾大学の学部がある。ネット家庭教師「毎日学習会」代表で、『人間ぎらいのマーケティング 人と会わずに稼ぐ方法』を書いた林直人さんは「それは慶大の総合政策学部と環境情報学部だ。AO入試では一般的な学力だけが求められるわけではないため、没頭できる研究テーマを見つけることができれば、合格できる可能性はある。私の生徒も4期連続で高校中退・高専中退・通信制高校から合格している」という――。
慶應義塾大学の湘南キャンパス(神奈川)
写真=時事通信フォト
慶應義塾大学の湘南キャンパス(神奈川)

高校中退者が相次いで合格している慶應SFC

早稲田、慶應、上智……。これらの大学は、日本を代表する私立大学であり、その入試は推薦入試といえど困難を極める。

早稲田大学の人気学部ともなれば最高級難易度の英語資格であるTOEFLiBTで100近いスコア(スタンフォード大学やハーハード大学などに留学できるほどのスコア)を求められる。

また、慶應義塾大学では、法学部の推薦入試であるFIT入試でも、文学部の推薦入試である自主応募推薦入試でも、平均4以上という高い内申点を求められる。これは慶應を受ける生徒の多い進学校では、極めて高い基準だ。

そうしたなかにあって、ひときわ異彩を放つ推薦入試がある。それが、慶應義塾大学の総合政策学部と環境情報学部のAO入試である。この2つの学部は湘南藤沢キャンパスにあるため、SFCと呼ばれる。

SFCのAO入試では、内申点の制約がなく、出願に際して語学検定能力なども求められないため、いわゆる「落ちこぼれ」の生徒でも問題なく合格できることがある。

実際に、早慶上智の対策塾を経営している私のもとからも、2021年入学の夏AO、2021年入学の秋AO、2021年入学の春AO、2022年入学の夏秋AOと4期連続で高校中退・高専中退・通信制高校出身の慶應SFCのAO合格者を輩出した。なぜ慶應SFCのAO入試は、高校中退・高専中退・通信制高校出身でも合格できるのか?

ヒントとなるのが、合格者たちの提出した「応募書類」である。その内容を見ると、彼らが大学入学以前から、「自分は大学でどんな研究をしたいのか?」「自分の人生を賭けて没頭したいことはなにか?」をはっきり見据えていることがわかる。

それらは、私たちのような「AO対策塾」が得意とする受験対策のテーマではなく、彼らが心の底から人生を賭けて取り組みたいと考えているテーマである。

ここからは実際に慶應SFC AOで合格した生徒の事例を紹介したい。