読み書き・計算が苦手な「学習障害」

もう一つ、勉強が苦手な原因となることが多いのが学習障害(LD)だ。学習障害は、知的能力は低くないのに、読み書きとか計算といった特定の領域の学習だけが苦手なタイプである。

苦手な領域が一つの領域に限られている場合もあるし、いくつかにまたがっている場合もある。それでも、知的能力は正常範囲ということは、ほかに優れた点があるからだ。

作業的な能力が長けているという場合や、視覚・空間的な能力が高く、運動や工作、技術、芸術、演劇などの分野に優れているという場合もある。匠と呼ばれるような職人や名工、アーティスト、詩人など一芸に秀でた人には、学習障害やその傾向をもった方が少なくない。凸凹がないと、特別な能力は生まれないようだ。

視覚・空間型はやりたいことを好きにさせるべし

学習障害と近い関係にあるのが、「視覚・空間型」と呼ばれるタイプで、言葉で考えたり表現したりすることは苦手だが、目や手足、体を使って、実際に作業しながら、感覚的に理解したり表現したりすることが得意なタイプだ。座学には向かないが、実技となると生き生きとして、本領を発揮する。

視覚・空間型の人では、しばしばある領域に異才をもつことがある。言語的な能力も劣っているとは限らず、詩人には、視覚・空間型の特性をもつ人が少なくない。

詩人の金子光晴は、学校に自分の居場所はないと感じていたが、幾何学と絵だけは得意だった。『ちいさい秋みつけた』などの作品で知られる童謡作家で詩人のサトウハチローは、母親を捨てた父親に反発して非行に走り、札付きの不良になっていたが、また野球少年でもあった。

ネバーエンディング・ストーリー』などファンタジックな児童文学の金字塔を打ち立てたドイツの作家ミヒャエル・エンデは、大の学校嫌いで、落第生だった。古典語も数学も悲惨な成績だったが、唯一図画だけは成績がよかった。作品を彩るあの豊かなイメージは、視覚・空間型ゆえのものなのだろう。

このタイプの人を伸ばすには、あまり勉強にはこだわらず、好きな道や適した分野を見つけて、手に職をつけさせることである。自分のやりたいことを追求しているうちに、天性の才能が開花し、大化けすることもある。