劣悪な環境、報酬で働かされている外国人もいる

出入国在留管理庁が調査した2020年の「在留外国人統計」によれば、日本に在留する外国人のうちベトナム人は約45万人で、中国に次いで第2位となっている(そのうち、大阪府内には約3万9000人が在留している)。また、厚生労働省が2020年に調査した「外国人雇用状況」によると、日本国内で働く外国人労働者を国別に見た結果、3位のフィリピン、2位の中国を抑えて最も多いのがベトナムで、前年からの増加率でも1位となっている。

2017年に「外国人技能実習制度」が改正されたことに伴い、日本国内の企業で報酬を得て働きつつさまざまな職業についての技能を学ぶ、「技能実習生」として日本にやってくる人々が急増した。ベトナムからも多くの技能実習生が日本にやってきているが、中には劣悪な条件、環境のもとでハードワークに従事させられる人々も多く、社会問題になっている。

技能実習生の契約期間は基本的に3年、特定の条件を満たして延長すれば5年と定められているが、現在の日本国内には技能実習の契約期間は終了したもののベトナムに帰国することはできないというような、宙ぶらりん状態に置かれている人もいるという。

コロナ禍でたまの遊びもできなくなった

取材日は運良く梅雨の晴れ間だったが、数日にわたって雨が続いていた。「日本の梅雨は嫌じゃない?」とドゥックさんにたずねると、「ベトナムには雨季があるから雨は慣れているけど、何日か前、地元を思い出して久々に家族に電話してしまいました」と照れたように笑っていた。

ドゥックさんと訪れたのは活気あるアーケード街の端にオープンしたばかりのベトナム食材店「VIET QUAN 98」。店の奥のテーブルでは若いベトナム人の男女が雑談をしたり食事をしたり、思い思いに過ごしている様子だった。

聞くところによるとその多くは留学生だという。大阪市此花区にはベトナム人向けの日本語学校があり、学生も多いそうだ。彼らがたまに遊びに行くのは難波がメインで、ボウリングやビリヤードをして遊ぶことが多いと教えてくれた。ただ、コロナ禍でそういったこともなかなかできなくなってしまったそうだ。