3月11日で東日本大震災から11年になる。ノンフィクションライターの松本創さんは「復興は進み、関係者の記憶も薄れるなか、遺族は依然として悲しみを抱き続けている。一方で、長い年月をかけて初めて苦しみを打ち明けられる遺族もいる。支援者は長い時間軸で被災地を見ていく必要がある」という――。(聞き手・構成=ノンフィクションライター・山川徹)
3年目記者時代、取材で目にしたさまざまな「死」
――「災害関連死」という考え方は、阪神・淡路大震災をきっかけに生まれました。松本さんは神戸新聞の記者として、阪神・淡路大震災を取材し、フリーランスライターになってからは3.11の仮設住宅や災害公営住宅の「孤独死」などをテーマに取材を続けてこられました。仮設住宅や災害公営住宅での「孤独死」と「災害関連死」には、通底する問題があるように思います。
そうかもしれませんね。阪神・淡路大震災では、私は入社3年目の若手記者として、発災直後から倒壊した阪神高速道路や大規模火災などの現場を歩き回りました。それから避難所や公園のテント村。山川さんの著書『最期の声』(KADOKAWA)では、避難所の劣悪な環境が災害関連死の増加につながっていると指摘されていましたが、正直なところ、当時は未曽有の災害なんだからこんなものか、と受け止めていました。当初はなにもかも初めての経験で、そうした問題意識を強く持てなかった。
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