人事部が秘密結社のようになる場合は、人事部長がちょっとした陰の支配者になり、CEOの命令もなしに社員を出世させたり、逆に潰したりする場合です。このような人事部はともすれば、優秀な人が陰謀渦巻く場所から逃れたいだけの理由で辞職するという事態を招くこともあります。

対極的なのは、ピクニックを企画したり、無意味な規則を押しつけて、社員をイライラさせる人事部です。彼らは「これをしてはいけない、あれもダメ」と、警官のように取り締まり、わずかな権力を行使します。

状況を変えるためにまず、人事部長に誰を採用するかを考えましょう。支配者や警官ではなく大リーガーを、つまり名声と実力を兼ね備えた人材を採用しなければなりません。人事部長に採用される人には2つの特殊能力が必須となります。1つは司祭のような能力。あらゆる懺悔や不満に耳を傾ける能力です。もう1つは親のような能力。親身に世話をしつつ、間違ったことをしたら率直に指摘する能力です。

こういった人材は、工場なり業務部門なりの運営経験のある人の中に多く見受けられます。彼らはビジネスを理解し、内部の緊張関係や人の心を理解しており、厳しいことも自信を持って率直に伝えます。そして何より、すべての社員に、自分がどの位置にいるかを知らせる評価システムを監督し、かつ熱意を持ってそれを監視することで会社をよくするのです。

金銭、表彰、訓練など、社員の意欲を高め、つなぎとめる仕組みをつくることも大切です。組合や、成果を挙げていない社員、そして増長して厄介な存在になりつつある花形社員など、対立が起こりやすい場所に会社を向き合わせる役目も果たすべきでしょう。

大多数のCEOが、「最大の資産」は社員であると公言しているのですから、これが夢物語のはずはないし、そうあってはならないのです。

(翻訳=ディプロマット 写真=Getty Images)