ヒット商品は「ひとりじゃない」と感じさせるもの

これはプリ機だけではなく、女の子にヒットしたサービスや商品に見られます。

たとえば、SNSも「ひとりじゃない」を確認するためのツールとしては最適です。女の子がなぜTikTokに動画を載せるかというと、反応を得たいからです。反応があれば「ひとりじゃない」と安心できますし、自己肯定感にもつながります。LINEもそうですね。もちろん、事務的な連絡に便利な面もあると思いますが、どうでもいいことすら気軽にやりとりできることで、仲間とつながっていられる安心感が生まれます。

学校でスマートフォンを使う日本の女子高生
写真=iStock.com/ferrantraite
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SNSが趣味やファッションの多様化を進めた

SNSは自分で発信するだけでなく、ただ見るだけでも「ひとりじゃない」を実感できます。たとえば、あなたがクラスではまったく人気がないアイドルが好きだとしましょう。「私の趣味っておかしいのかな」と思いながらも、SNSでそのアイドル名を検索すると、他にも好きな子をたくさん見つけることができます。「自分の趣味っておかしくなかったんだ」と孤独感から解き放たれるわけです。

これが一昔前でしたら、状況は違います。1990年代、安室奈美恵さんを代表とするギャルブームがありました。この頃、あなたがもしそのブームから外れたファッションで渋谷を歩いていたら「ちょっとダサい人」と囁かれたかもしれません。

ところが、今の時代はSNSの存在が趣味やファッションの多様化を後押ししています。まわりを見ても、多様化が進んだと思いませんか? アイドルが好き、アニメが好き、YouTuberが好き、キャラクターが好きなど、自分の好きなものを好きといい、服装も思うがままにしやすい世の中になりました。私は2005年から女の子を見続けていますが、その変化には驚くばかりです。

これは、女の子たちがひとりじゃない安心感を手に入れた結果ともいえますし、社会が多様性を肯定するようになったからともいえます。どちらが先かは鶏と卵の関係と同じですが、いずれにせよ「寂しさを感じさせない」特性がSNSの人気につながっているのは間違いありません。