あらゆるビジネスで「かわいい」は重要

たとえば、古くからかわいさを追求しているのが自動車です。

女性をターゲットにした軽自動車はいまでは丸みを帯びた車体やインテリアなど女性の使用を想定した車種が大半です。スズキなど、メーカーによっては自社で市場調査やグループインタビューなどを手掛ける女性チームがあるのは当然になってきています。

無骨なイメージの事務用品の世界も変わってきています。お菓子のマカロンをモチーフにしたクリップや埴輪はにわをイメージした指サックが大ヒットとなり、女性を中心に支持を集めています。

一昔前は「男性のもの」、「機能性や使い勝手がよければデザインは問わない」と思われていた商品ですら、「かわいさ」が顧客の心をつかむのには必要になってきていることがわかるでしょう。

そして、これからの事業戦略ではますます「かわいい」が重要になるはずです。日本国内の少子高齢化で、女の子と無縁だった企業も、今までの自社の市場だけでは先細りは必至だからです。女の子たちを理解できないと戦える市場は広げられません。

今、この記事を読んでいる人の中にも「新しい市場を開拓しろ」「若い女性市場向けに商品を考えろ」と社命をうけたものの、どこから手をつけていいかわからない人もいるかもしれません。これからビジネスをする上で、「女性」マーケットがわかっているということは、大変な強みになるはずです。

女の子にはベースとなる「好き嫌いの法則」がある

私は2005年にフリュー株式会社に入社し、プリ機の商品企画開発を通して、女の子の願望やトレンドについて14年にわたり観察・研究してきました。そして、そこで得た知見を元に、現在は新規事業開発に挑戦しつつ、ガールズトレンド研究所の所長として、講演やセミナーでお話させていただいたり、ご依頼があれば企業様のご相談にのったりなどしています。一見、何の脈絡もなく「かわいい」を連発しているように見える女の子たちですが、そこにはブレない「好き」「嫌い」の法則がありました。

日本の学校の子供
写真=iStock.com/urbancow
※写真はイメージです

彼女たちは、自分らしさを追い求めてそれぞれが独自の判断基準を持っていそうに見えますが、ベースとなる好き嫌いの法則が存在します。その上で自分らしさを発揮しています。そして、その中から新しい法則が生まれ、広がっていきます。そう考えると同じように見えた女の子たちの姿もまた違った印象に見えてくるはずです。