法則②「自己肯定感が高まるものが好き」

「他者から評価されることも含めた自己肯定感」とは、自分に自信があり、他者からも認められた状態です。

たとえば、見た目を例にわかりやすくいうと、自分がかわいいと思えていて、また他の人からもかわいいと言われることです。「自己肯定感」が上がることが大切なので、ほかの賞賛ももちろんいいのですが、かわいいの評価は重要です。

すでにお気づきの人もいるかもしれませんが、ここまで説明をした「自分がひとりではないという安心感」と「他者から評価されることも含めた自己肯定感」は密接な関係にあります。

たとえばプリ機では、仲のいい友達とプリを撮ったら、昔はシールを専用の手帳に貼って友達と見せ合いました。また、かわいく撮れた様子を振り返り、自己肯定感をそのたびに実感できたはずです。

今では撮った画像はSNSに載せます。かつては手帳にシールを一杯貼ってある子が友達の多い子として仲間内では賞賛されましたが、今、その賞賛はSNSの「いいね」に代わっています。記録として残り、かつそれをまわりの人にいいと言ってもらえるので、自己肯定感も得られるというわけです。

プリ機が20年以上にわたって女の子に支持され商品として生き残っているのも、女の子の二大行動原理である「自分がひとりではないという安心感」と「他者から評価されることも含めた自己肯定感」を兼ね揃えているからといっても言い過ぎではありません。

日本の高校生
写真=iStock.com/urbancow
※写真はイメージです

プリ機の例はひとつの参考になるはずです。

新商品や新サービスを考える際は、「遊びながら、ユーザーがつながっていることを意識できるか。みんながそれを見て、かわいいと言って賞賛をしてくれるものか。SNSにも上げやすかったりして、自己肯定感にもつながるか」というのをチェックしてみてください。女の子に受け入れられるかを判断するひとつの基準になるでしょう。

自分のオリジナリティを出して発信する

「他者から評価されることも含めた自己肯定感」は、かわいいと自分が思え、また他人に言ってもらうことだと言いましたが、かわいい以外の賞賛も大事です。詳しくご説明します。

女の子が自己肯定感を求めるのは、いつの時代も変わりません。そのわかりやすい形が「デコる」です。「デコる」とは、あらゆるものをデコレーション(飾りつけ)して、かわいく変身させることを言います。

典型例が「デコ電」です。2000年頃にギャルの間で、ガラケーにラインストーンやさまざまなパーツで装飾し、大きなストラップをつけることが流行しました。爪をデコるのが流行り始めたのもこの頃です。シールを貼った手帳がデコブームの流れを受けて、シールだけでなく雑誌の切り抜きなどを使って、つくりこまれるようになりました。

そして今、多くの女の子がデコる対象としているのがSNSの投稿です。デコる対象が立体から平面、またオフラインからオンラインになりました。

たとえばInstagramが上手な人は、投稿ひとつにしても何かしらオリジナリティがあり、クリエイティブ性があります。最近のわかりやすい例では、彩度が低めで、少しはかなげな雰囲気の画像加工がトレンドです。

このように現在の「デコる」は、データ上の写真を「盛り」、「映え(ばえ)させる」に変わりました。このふたつは、自己肯定感を上げるのに欠かせない単語です。プリ機には、文字やイラストを描いたり、背景を変えたり、スタンプを押したりなど飾りつける落書き機能が搭載されています。

現在の流行では、プリ画像自体への落書きはシンプルにはなっています。代わりに、SNSに載せるときに自分のお気に入りの色味に調整したり、ハッシュタグをつけたりする子が増えています。しかし、「加工をしたい」というのは同じです。

時代ごとにテクノロジーの違いもあり手法は異なりますが、SNSや、その前にあったブログブームでも、女の子たちの根っこにある欲求は同じです。

つまり、自分らしいオリジナリティを出して発信し、それに対して反応を得ることで自己肯定感につなげているのです。