年俸が成績次第で数百万~数億円単位で大きく上下する実力社会のプロ野球界。2022年シーズンの年俸2億円以上の選手35人を調べたスポーツライターの高津雅樹さんは「同じくらいのキャリア・成績でも年俸が2分の1以下になってしまう選手や、逆に成績に見合わない高給取りの選手がいるのではないか」という――。
札束の上に野球ボール
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プロ野球の年俸2022「もっともらっていい選手・もらい過ぎ選手」

来たる2022年シーズンで「年俸1億円」以上の選手は80人存在する。

いずれ劣らぬ錚々たる顔ぶれだが、ひと昔前は「年俸1億円」が超一流のステータスとも言われただけに、正直「この選手がそんなにもらっているの?」と驚くこともある。

現在の「超一流」は、実績や顔ぶれから勘案すると「年俸2億円」以上の35人といっていいかもしれない。その内訳は先発投手8人、中継ぎ投手1人、抑え投手6人、捕手2人、一塁手2人、二塁手3人、三塁手4人、遊撃手2人、左翼手2人、中堅手3人、右翼手1人、DH(指名打者)1人である。

今回は、22年の「高給取り」選手たちに関して、7つの視点で考察していこう。

下記の年俸(すべて推定)の出典:一般紙・スポーツ紙の報道を参照のうえ筆者推定
選手成績の出典:各球団やNPBのHPのデータ(出場試合数、安打数、打率、本塁打数、打点など)を基に筆者作成、年は昨年までの現役年数

【1】日本球界1位のマー君、2位ギータ
田中将大(楽天)15年9億円 372試合181勝90敗3セーブ(日米)
柳田悠岐(ソフ)11年6億2000万円 1138試1259安、率.319、214本、691点

日本球界トップの高給取りは楽天の田中将大の9億円だ。とはいえヤンキース時代は22億円が7年続いた。メジャーで先発ローテーション3人までに入ると、ダルビッシュ有もそうだが、年俸20億円前後になる。野手はイチローや松井クラスも最盛期で15億円前後だった。

22年NPB年俸2位はソフトバンク柳田悠岐の6億2000万円。02年の松井を破る史上最高額だ。それでも松井以来20年も経過している。いまさらながら、他の追随を許さなかった松井のすごさを再認識させられる。

【参考データ】
松井秀喜(巨人)10年6億1000万円 1268試1390安、率.304、332本、889点(日本)
【2】捕手の年俸は、実績と比例する妥当な結果
甲斐拓哉(ソフ)11年2億1000万円(優勝2)ゴールデングラブ5
森 友哉(西武)8年2億1000万円(優勝2)MVP1、首位打者1
会沢 翼(広島)15年1億8000万円(優勝3)ベストナイン3
中村悠平(ヤク)13年1億7000万円(優勝2)ゴールデングラブ2

この4捕手は現役通算の年数こそ違うが、扇の要としてチームを引っ張り、優勝経験回数や個人的な実績も遜色ない。リーグを代表する捕手に対して各球団とも同じような評価を出し、似たような報酬を得ていると考えてよいのではないか。

ただ、ソフトバンク甲斐拓哉や西武森が全選手中の年俸ランキングに登場するのは27位。26位までに、ほかのすべてのポジションの選手が顔を出している。投手をリードし、打者と駆け引きして「グラウンド上の監督」を務めるなど重責を担っているにもかかわらず、捕手の年俸相場はいささか低いと言えるかもしれない。

捕手は一線に出て活躍を遂げるまで時間を要する。ケガが多いポジションで継続して活躍するのは難しい。守備重視で打撃に注力するのも大変だ。そんな要因があると推察できる。その意味で打撃成績がひときわ光る森は若くても高年俸なのだろう。