ソフトバンクに「成績と年俸が不釣り合いな選手」が多いワケ

【6】「もらい過ぎ?」それとも、恵まれている?

逆に、「もらい過ぎではないか」と感じる選手も少なくない。

松田宣浩(ソフ)16年1億5000万円44位1867試1811安、率.266、301本、984点
中村 晃(ソフ)14年2億4000万円25位1164試1151安、率.282、54本、415点
今宮健太(ソフ)12年2億9000万円18位1224試1008安、率.246、76本、402点
嘉弥真新也(ソフ)10年1億6000万円41位 384試合13勝101H1S
武田翔太(ソフ)10年1億5000万円44位 178試合63勝45敗9H2S

21年まで6年連続で4億円超の年俸だったソフトバンクの松田宣浩。昨オフに67%(3億円)ダウンの提示をのんで、1億5000万円で契約した。三笠杉彦GMは「1年のパフォーマンスだけで下がったわけではない」と説明。確かにここ2年は100安打を割るなど精彩を欠いた。

だが、松田は名球会入りの基準となる通算2000安打まで残り189安打。到達するか否かで球史への名の残りかたは雲泥の差がある。22年シーズンに巻き返せるか注目だ

ちなみに過去史上最多ダウン額は杉内俊哉(巨人)と金子千尋(オリックス→日本ハム)の4億5000万円だ。

同じソフトバンクの嘉弥真新也投手は、通算384試合登板で273イニングに投げているものの、通算13勝101ホールド。昨年チーム最多58試合登板とはいえ、1億6000万円はどうだろう。同じ中継ぎ投手の岩崎優(阪神)は通算8年326試合516イニング27勝109ホールド、昨年62試合に投げて1億5000万円。前述した2億円の益田直也(ロッテ)は、同じ10年間で593試合登板575イニングと、イニング数は2倍でさらに150セーブが加わる。その意味では益田は「もっともらっていい選手」に含めてもいい。

もらい過ぎではないかと感じる投手はほかにもいる。ソフトバンクの武田翔太は15~16年に2年連続2ケタ勝利のあとは、6、4、5、2勝、21年4勝と低調だったものの、昨オフで新たに9000万アップの1億5000万円(4年契約)を結んだ。成績と額が不釣り合いに思えるが、「22年国内FA権取得の見込みがその理由」(三笠GM)らしい。

一方、打者ではソフトバンクの中村晃だ。19~20年に2年連続100安打を割ったが、4年契約なので現状維持の2億4000万円。同僚の今宮健太は、18年から4年連続で100安打を割ったが、4年契約なのでやはり現状維持の2億9000万円。

ここに登場したのは全員がソフトバンクの選手だ。潤沢な資金にモノを言わせて、秋山幸二/工藤公康政権13年間でリーグ優勝6度、2位からの日本一2度。年俸が高いから勝利へのモチベーションが上がると見るか、これだけ年俸をもらっていれば勝つのは当然と見るか。企業のブランディングの意味合いも含まれるのだろうが、いずれにせよ他球団の選手からしたらうらやましい限りだろう。

日当たりの良い、満員の球場
写真=iStock.com/LeArchitecto
※写真はイメージです
【7】アップ&ダウンがジェットコースター的な「どすこい」

本塁打のあとの「どすこい」ポーズがファンに人気の西武の山川穂高は、2年連続本塁打王を獲得して年俸が急上昇したが、ここ2年は連続して急降下の軌跡を描いた。その年俸推移を追ってみよう。

山川穂高(西武)8年1億3000万円55位640試547安、率.254、177本、480点

18~19年に40本塁打をマークし、年俸は2年間で実に7倍にはね上がった。しかし、ここ2年間は本塁打数が20本台に半減。2年連続して4000万円の大幅ダウンだった。このあたりは信賞必罰が色濃く表れている(下線はリーグ最多)。

14年 3安打 .100 2本 3打点 1200万円
15年 1安打 1.000 0本 1打点 1200万円
16年 36安打 .259 14本 32打点 1000万円
17年 72安打 .298 23本 61打点 1600万円
18年 152安打 .281 47本 124打点 3240万円
19年 134安打 .256 43本 120打点 1億1000万円
20年 66安打 .205 24本 73打点 2億1000万円
21年 83安打 .232 24本 66打点 1億7000万円
22年 1億3000万円

好不調の波をできるだけ抑え、安定的に活躍することが年俸アップの秘訣だろうが、それが簡単にはかなわないのがプロ野球というシビアな世界なのだ。

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