人が集まるところほど、人が集中していく

【内田】同じですね。

内田樹・岩田健太郎『リスクを生きる』(朝日新書)
内田樹・岩田健太郎『リスクを生きる』(朝日新書)

【岩田】学会も同様です。日本の場合は糖尿病と高血圧、がんの学会が巨大な組織で、専門家がすごくたくさんいます。それこそ高血圧の専門医なんて山ほどいるんですが、はっきり言ってこの数十年間、高血圧の研究や治療でブレークスルーになるような新しい発見って全然ないんです(私見です)。

一方で感染症は、高血圧などに比べて超ニッチな分野なんです。だから感染症をやりたいという医者はほとんどの人が変人で(私見です)、「その集団の一員になりたい」という帰属意識が極めて低いタイプばかりです(私見です!)。日本では感染症の専門家の絶対数が少ないから、未来においても人があんまり集まってこない。

【内田】その循環ですね。人が集まらないので人が集まらない。

【岩田】そう。集まるところには、どんどん集まるがゆえに、さらに集まってゆく。

【内田】東京に人が集まる理由もそうなんだと思います。

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