「自民党・経済界」に対抗して「野党・労働界」の勢力を結集するという連合発足当時の理念は雲散霧消した。連合依存を続ける立憲民主党に存在意義はなかろう。
「維新」と「れいわ」が存在感を増すワケ
立憲民主党の凋落と入れ替わるように存在感を増しているのが、日本維新の会とれいわ新選組という二つの新興勢力である。
維新が規制緩和を加速させて経済界をいっそう強く支援する新自由主義の立場を鮮明にしているのに対抗し、れいわは「誰ひとり見捨てない政治」をうたって超積極財政による非正規労働者ら弱者の救済を主張している。「維新vsれいわ」の対立軸は非常にわかりやすい。
維新を旗揚げした橋下徹氏が、維新キラーとして政界デビューしたれいわの大石あきこ衆院議員を名誉毀損で提訴したことも「維新vsれいわ」の激突を大いに盛り上げている。れいわの山本太郎代表は「維新は自民より酷い」とまで明言している。この対立構図のなかで立憲民主党はますます埋没し、参院選で大惨敗を喫すると筆者は予測している。
れいわは今夏の参院選で、維新の本拠地・大阪選挙区(改選数4)にタレントの八幡愛氏をいち早く擁立した。山本代表と人気急上昇中の大石氏が八幡氏と三人四脚で大阪を駆け巡り、維新と激突する「劇場型選挙」を演出するだろう。
連合依存を続ければ党の存在意義が問われる
前回参院選の大阪選挙区は「1位維新、2位維新、3位公明、4位自民」で立憲民主党と共産党が共倒れした。立憲民主党には今回、衆院選で落選した辻元清美氏の擁立論もあったが、辻元氏は比例区からの出馬を選んだ。維新の牙城・大阪で当選4枠に入るのは難しいと判断したとみられる。
立憲民主党は大阪で「不戦敗」に追い込まれるかもしれない。そうなると「維新vsれいわ」の「大坂夏の陣」に注目が集まり、それは全国に波及して立憲民主党の票は維新やれいわに流出していくのではないか。今夏の参院選で維新とれいわがさらに台頭し、立憲民主党が大幅に議席を減らして野党再編に発展する可能性は十分ある。
いずれにせよ、新しい野党第1党のもとで非自民勢力がひとつに結集する二大政党政治の再建は当面困難であろう。複数政党が選挙や政策について交渉する「政党間協議」の重要性が増してくる。これは当面、自民党の政権維持に有利に働くことになる。
だが、英米にみられるように、労働者の声が政治に反映されない二大政党政治の枠組み自体が揺らいでいることを忘れてはならない。立憲民主党に続いて自民党の存在意義も遠からず問われる時がくると筆者はみている。今夏の参院選は日本政界の地殻変動の始まりとなろう。