聖隷クリストファーに落ち度はなかったのか?

夏の甲子園は都道府県をベースにした49地区大会の優勝校が文句なしに即代表となるが、春の甲子園は異なる。「選抜高校野球」という名前の通り、選考委員会によって出場校が決められる。その選考基準は以下の通りだ。

(1)大会開催年度高校野球大会参加者資格規定に適合したもの。
(2)日本学生野球憲章の精神に違反しないもの。
(3)校風、品位、技能とも高校野球にふさわしいもので、各都道府県高校野球連盟から推薦された候補校の中から地域的な面も加味して選出する。
(4)技能についてはその年度の新チーム結成後よりアウトオブシーズンに入るまでの試合成績ならびに実力などを勘案するが、勝敗のみにこだわらずその試合内容などを参考とする。
(5)本大会はあくまで予選をもたないことを特色とする。従って秋の地区大会は一つの参考資料であって本大会の予選ではない。

では、なぜ聖隷クリストファーは落選したのか。

球児たち
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選考基準の(5)項目(=秋の地区大会は一つの参考資料であって本大会の予選ではない)を読めば、2枠の東海大会で決勝に進出したからといって、必ずしも選考基準を満たすわけではないことがわかる。

また(4)項目(=勝敗のみにこだわらずその試合内容などを参考とする)を読むと、高野連が「個人の力量、投打に勝る大垣日大」を推薦校とする余地が残されているようにも思える。ただ、この「投打に勝る個人の力量」に関しては、「高校野球は個人競技ではなく、チーム競技であるはずだ」と、ダルビッシュ有など多くのプロ選手もSNSで発言している。また、聖隷クリストファーの校長であり野球部監督である上村敏正さんも「個人の能力の差を理由に落とされたら、今後、どうやって甲子園を目指せばいいのでしょうか」とNEWSポストセブン(2月2日公開、ノンフィクションライター・柳川悠二さんの単独インタビュー)の取材に答えている。

確かに、選考基準上は、東海地区決勝進出=センバツ確定ではない。それでも、当選確率はかなり高いはずだ。しかし、さらに取材を進めていくと、意外な事実が浮上した。聖隷クリストファーは(2)と(3)項目に抵触している可能性があったのだ。例えば、それは東海大会準々決勝の中京戦での“疑惑のプレー”だ。