6~7歳になると「王様」じゃないことに気づく

反対に親から叱られるときには、その目に映る“ダメな自分”を発見し、「批判的な自己」も生まれてきます。

子どもを注意する
写真=iStock.com/chameleonseye
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「ごはんは全部食べなさい」
「遊んだらちゃんとお片づけしなさい」

などと言われて、“ごはんを残さずに食べた自分はいい子”や“片づけない自分は悪い子”というようなセルフイメージも作られていきます。

普通の子どもというものは、最初は誰でも傲慢ごうまん、無礼、傍若無人ぼうじゃくぶじんの王様状態。その“俺様的セルフイメージ”からだんだんに落ちぶれていくのが普通の発達です。6~7歳頃になると、子どもとして扱われる一人前でない自分を繰り返し認識させられます。

家でお母さんにかわいがられているうちはまだマシで、何しろ小学校にあがったら子どもたちの中でも一番小さいのです。

「1年生並んで」
「はーい」

と先生や先輩の言うことをよく聞いて行動しなければなりません。先生や先輩は、親ほどは自分に注目してくれないことにも気づきますが、それを我慢しなければならないことも学びます。これが、まぁまぁ普通の子でしょう。

「毒親」は「よいおっぱい」の中からも現れる

子どもの世話を放棄する親(悪いおっぱい)が「毒親」として攻撃されるのは、わかりやすいと思います。しかし、常に子どものことを気にかけて、タイミングよく世話をするよい親(よいおっぱい)の中からも、「毒親」とされる“過保護・過干渉型”の親が現れます。

まぁまぁのところであきらめずに、いつまでも子どもに影響を及ぼしたがり、子どもに高い望みをかけてがんばってしまう。いい加減に自分で判断させたほうがいい時期になっても、まだ子どもの判断をすべて自分の判断に置き換えてしまう。赤ん坊の頃と同じように子どもをしょっちゅう見張っていて、なんでもしてあげるエクセレントな(極上の)親です。

子どものほうもエクセレントだったりすると、早めにダメぶりを発揮して親をあきらめさせてあげられない。ずっと成績のよい子や最後まで脱落せずにがんばる子には、親のほうもいつまでも期待をかけてしまいます。

つまり、大人になってから「毒親」騒ぎを起こしている人たちの中には、世間一般から見ると、いい方向にずれすぎているエクセレントな親子も多いのです。早めにあきらめがつかず、人より長く勘違いが持ちこたえてしまったのでしょう。