最近は会社員でも確定申告をする人が増えている。令和3(2021)年分の申告書の受付は、原則2月16日~3月15日だ(新型コロナウイルス感染症の影響により申告などが困難な人は4月 15 日まで)。元国税局・国税専門官の小林義崇さんは「日本では、会社員なら税金のことを知らなくてもあまり問題になりませんが、税金のことを知らないままでいると起きるのが、『自覚なく損をしてしまう』という問題です」という――。

※本稿は、小林義崇『絶対トクする!節税の全ワザ』(きずな出版)の一部を再編集したものです。

住民税はどうやって計算される?

所得税の次にみなさんに関係があるのは住民税です。

所得税と住民税は、税金を納める先が国か地方自治体かという違いだけで、基本的なしくみは共通しています。所得税がたくさんかかる人には、住民税もたくさんかかります。そして所得税を節税すれば、住民税も節税できます。

ただ、所得税と住民税には、いくつか押さえておきたい違いがあります。

まずは、「税率」です。所得税の場合、所得金額に応じて税率が変わる累進るいしん税率というしくみがあります。つまり、「たくさん稼いだ人のほうが、税率が高くなる」というしくみです。

一方の住民税は、所得金額に10%を掛けた所得割と、年間5000円程度の固定金額の均等割から構成されています。

住んでいる(住民票のある)場所によって、所得割と均等割の設定が若干変わることはあります。ただ、税額が年間で何千円も変わるようなことは通常ありません。

ときどき、「住民税が安いところに引っ越したい」という方がいますが、引っ越しをしても住民税はほとんど節約できないのです。引っ越しを考えるなら、住民税よりも住み心地や行政サービスを優先したほうがいいでしょう。