親が元気なうちに介護について相談を

Q.義理の母が在宅では面倒が見きれなくなったため、介護施設に入ることになりました。この場合の費用は、長男である夫が全額負担すべきなのでしょうか?

A.親に対する義務は、兄弟誰であっても平等です。

生まれた順番や性別に関わらず、親に対する扶養義務はすべての兄弟・姉妹の間で平等に発生します。そのため、親の介護費用が必要な場合は、親の財産から支払い、足りない分を兄弟姉妹で折半するべきです。

森公任、森元みのり『妻六法』(扶桑社)
森公任、森元みのり『妻六法』(扶桑社)

かかった介護費用を払ってくれない兄弟がいた場合は、家庭裁判所に「扶養請求調停」を申し立て、調停委員を交えて、話しあいをすることも可能です。調停で取り決めた義務が果たされない場合は、財産の差し押さえなどの強制執行が行われることもあります。

調停でも合意ができなかった場合は、裁判所での「審判」で、最終的な判断が下されます。

ただ、調停や審判に持ち込むことになれば、時間も費用も発生してしまいます。できれば、親が元気なうちに、事前に親の経済状況や介護費用の相談を、親や兄弟姉妹間で話しあっておくほうが、後のトラブルを回避することができるでしょう。

自分の親に介護が必要になった場合は……

1.地域包括支援センターへ連絡を

各市区町村に設置されている高齢者の暮らしをサポートするための総合相談窓口です。介護・医療・保険・福祉などの分野において、保健師や社会福祉士、主任ケアマネージャーといった3つの専門職、またはそれに準ずる人材が対応してくれます。幅広い相談が可能なので、「まず、何をしたらいいのかわからない!」というはじめての介護に直面した人におすすめ。

連絡先はHPなどにも掲載されています。もしくは、各市区町村の役所にある「介護保険課」や「高齢者福祉課」へ問い合わせると、地域包括支援センターの連絡先を教えてもらうことができます。

早くから相談しておくと安心感も生まれるので、介護が必要ではない段階から、親が高齢者になったタイミングで、一度連絡しておくのもいいでしょう。

2.親の現状を把握すべく、主治医へ相談を

現在、自分の親がどんな状態なのかを知るために、親の主治医に相談してみましょう。また、介護保険サービスを利用する際に、担当する主治医の意見書が必要になるため、「介護が必要になるかもしれない」という旨を、親の主治医に伝えておきましょう。