妻が義理の親の介護を抱え込む義務はない

しかし、あくまでも義理の両親の介護の主体は夫とその兄弟姉妹です。

妻が介護を一手に担う義務はないので、「嫁である自分が義両親の介護をすべて担わなければならない」などと、自分を追い込む必要はありません。夫に手を貸す場合は、きちんと自分が納得できるような状況になるように、事前に夫やその兄弟姉妹とも話しあいをして、責任の所在や役割分担を明確にしておきましょう。

義実家とのモヤモヤを晴らす法律
民法第877条
1)直系血族及び兄弟姉妹は、互いに扶養をする義務がある。
2)家庭裁判所は、特別の事情があるときは、前項に規定する場合のほか、三親等内の親族間においても扶養の義務を負わせることができる。
3)前項の規定による審判があった後事情に変更を生じたときは、家庭裁判所は、その審判を取り消すことができる。
解説 法律上は、妻は義理の両親を扶養しなくてもいい
関連法律
民法第730条(親族間の扶け合い)
直系血族及び同居の親族は、互いに扶け合わなければならない。

生活が苦しければ実の親でも援助する必要はない

Q.別居している義理の父が要介護認定を受けたのですが、「介護費用がないので、出してほしい」と頼まれました。私達夫婦もぎりぎりの生活費で生活をしているし、共働きなので時間的な余裕もないのですが、どうやって介護すればいいのでしょうか?

女性と介助者
写真=iStock.com/byryo
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A.親の援助は、あくまで「援助する余力がある場合」だけ。

親側には、自分の子どもをしっかりと育てる扶養義務が発生しますが、子どもが親に対して負うべき扶養義務は、あくまで、「自分の社会的地位や収入などにふさわしい生活をした上で、余力のある範囲」です。

ごく端的に言えば、生活が苦しかったり、何かしらの事情があったりと、子どもが親を援助するだけの余力がない場合は、仮に実の親であっても援助しなくてもよいということです。

自分たちの生活基盤を崩して、親の面倒を見ようとしても、共倒れになってしまうかもしれません。それよりは、役所をはじめとする適切な福祉の相談窓口に連絡をして、できる限りの公的サポートを受け、自分の負担を減らすことを考えてください。