世界的な「金余り」の中で問われる信念
しかし、そんなバフェットもコロナ禍の影響を完全に避けることはできませんでした。
バークシャー・ハザウェイの決算自体は黒字に転じていますが、こと運用に関してはバフェットがかねがね公言していた「エレファント級の買収」はなかなか実現していません。2020年には米ドミニオン・エナジーから天然ガス輸送・貯蔵事業を買収しましたが、それ以外では目立った案件はなく、過去最大規模となった余剰資金は自社株買いに回っています。
なぜ大型の買収が難しいかというと、世界的な金余りの影響を受けて投資ファンドとの競合が激化していること、また買収価格が吊り上がっていることですが、こんな時に豊富な資金にものをいわせて高値でも買うというのはやはりバフェットの流儀に反することなのでしょう。
バフェットのやり方は価格と価値の差をしっかり見極めるものですし、「投資の世界には見送り三振がない」というように自らのストライクゾーンからはずれていても、「買収をしなければ」と無理にバットを振ることはしません。
しかし、一方では有り余る資金をどうするのかという課題もあり、株主の要求もあってバフェットにとっても今は正念場といえるかもしれません。コロナ禍は、バフェットが変わらず原理原則に忠実であり続けるかどうかを問いかけているのかもしれません。