「80年代のスーパースター」も同意見

バフェットとよく似た考え方をしているのがピーター・リンチです。リンチは株式投資信託マゼラン・ファンドの運用を担当し、1990年に引退するまでの13年間で同ファンドの資産を2000万ドルから140億ドルへと世界最大規模に育て上げる驚異的なパフォーマンスを発揮。「80年代のスーパースター」「全米ナンバーワンファンドマネジャー」と称えられた投資家ですが、リンチが一般投資家に推奨していたのが「テンバガー(10倍上がる株)を見つけるには、まず自分の家の近くから始める」ことでした。

リンチによると、一般投資家が株式投資を行うとなると、自分が日ごろからよく知っている企業や普段から利用している企業を選ぶのではなく、あまり聞いたこともない、事業内容も十分に理解できないような企業へと投資したがるといいます。

毎日、食べているダンキン・ドーナツよりも、証券会社の人間が推奨する、一目見ただけでは何をつくっているのか、どんなサービスを提供しているのかさっぱり理解できないようなテクノロジー企業などに自分の大切なお金を投じたがるというのです。

自分の実感を大切にする

しかし現実には、知見のない会社を理解するのはとても難しいものです。会社のことが理解できなければ、その会社の将来がどうなるかを理解できるはずもなく、結局は証券会社のいうがままに買ったり売ったりを繰り返し、最終的にはその投資は失敗に終わります。

では、そんなややこしい会社ではなく、たとえば自分が日ごろから利用しているお店やサービスならどうでしょうか。自分の身近にあるファミリーレストランやコンビニエンスストア、宅配便などであれば、どんな事業をしているかもわかるし、人気があるかどうかも実感できるはずです。

あるいは、ゲームや鉄道、写真などが趣味の人であれば、そうした分野に関連する企業に関する知識もあるでしょうし、調べるとしてもちっとも苦にはならないはずです。「自分がよく知るものに投資しなさい」がリンチのアドバイスです。