「声をかけ合う、ちょっと話を聞いてあげる」それで人は幸せに
「人の健康や幸せを決定づける要因は食事でも、運動でもなく、実は人との関係性であり、心地よく安心できるつながりこそが人生の満足度を大きく高める」
ということは世界の多くの科学的研究から明らかになっている。孤独は、1日たばこ15本を吸う害悪に相当し、肥満やアルコール依存症の2倍、健康に悪いとされている。
虐待、貧困、いじめ、依存症、犯罪……。多くの社会的問題の根底には「孤独・孤立」という共通項がある。「孤独は美しい」などを美化する向きもあるが、そういう人は本当の「弧毒」の身を削ずるつらさを知らないのかもしれない。
家族や地縁、会社などという縛りの強いつながりが失われつつある中で、本来、社会的動物である人間(日本人)を救うのは、ちょっとしたおしゃべりのできる「弱い紐帯」というつながりなのかもしれない。
ちょっと声を掛け合う、ちょっと話を聞いてあげる、そんな関係性の中でも人は自分の存在を認められることで、十分に幸福感を感じることができる。
「他人」は毒にもなるが、薬にもなる存在だ。誰もが毒を恐れて、殻に閉じこもり、武装モードで固い殻を突き合わせてすり減らしあう社会はディストピアでしかない。殻を脱ぎ、心を許す関係性をつくることのできる場(コミュニティ)をどう作るのか。そして、人と人をつなぐ「コミュニケーション」という架け橋をどう築き上げるのか。
2つの「コミュ力」がこの世知辛い時代を生き抜く最強の「処世術」であり、日本社会再興のカギになるのではないだろうか。