ぐっすり眠るカギは「深睡眠」

私たちはよく「睡眠は質が大事」「良い睡眠をとろう」といった言葉を耳にします。

しかし、「睡眠の質」は何で決まるのか、「良い睡眠」とはどのようなものなのかをきちんと説明できる人は、あまり多くないでしょう。

詳しくは後述しますが、ぐっすり眠れるというのは、「深睡眠(徐波睡眠)」がよくとれている状態のことです。

深睡眠の間は、途中で目が覚めにくく、また脳内に蓄積されたアミロイドβタンパク質などの疲労物質の除去や、体の機能を修繕させたり、免疫力を高めたりする成長ホルモンの分泌が、もっとも盛んに行われます。

そのため、この時間が多いほど、疲れが取れ病気になりにくい体になります。つまり、ぐっすり眠れる=深睡眠がしっかりとれる=疲れにくく健康になる、といえるのです。

眠っている猫と人
写真=iStock.com/LewisTsePuiLung
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初めの4時間で脳と体の疲れは8割取れる

先程もお話した通り、「睡眠の質」「睡眠の良し悪し」は、「深睡眠(徐波睡眠)」によって決まります。「眠りについてから4時間以内に、深睡眠をしっかりとれたかどうか」が、睡眠の質を左右するのです。

では、「深睡眠」とは、具体的にはどんな状態を指すのでしょう。

睡眠には、大きく分けて「レム睡眠」と「ノンレム睡眠」のふたつがあります。人間が眠りにつくと、まずレム睡眠が始まり、次にノンレム睡眠が訪れ、再びレム睡眠に戻る。この繰り返しが約90~120分間隔でおきます。

レム睡眠は、眠りに入った直前や起きる間際のうとうとと眠っているような状態で、よく「浅い睡眠」といわれます。

その間、筋肉はゆるみ、体は休息状態に入りますが、脳(大脳皮質)は活発に動いており、1日にあった出来事や学習したことを整理して、記憶という形で固定するという作業を行っています。

「4時間以内に2回以上の深睡眠」がベスト

一方、ノンレム睡眠は、深い睡眠です。起こそうとして体を揺すってもなかなか起きません。脳を休ませ、体の疲れを回復させるための睡眠で、脳も体も深い休息をとっています。そして、ノンレム睡眠は、眠りの深さによって3つのステージに分かれています。

そのなかでも脳が一番リラックスした状態にあり、深い眠りに入っているのが、ステージ3の「深睡眠」です。脳波をみても、この深睡眠のときに、もっとも脳の活動が低下していることがわかります。