企業のアニマルスピリットにどう影響するか
そのため、成長期待が高まって資金需要が盛り上がる展開を想定することは難しい。日本銀行が異次元の金融緩和を続ける可能性は高い。かなりの期間にわたって国内の長短の金利差は足許のような低水準で推移する、あるいはさらに縮小することが考えられる。それに加えて、地域によっては急速に過疎化が進行し、都市部以上のスピードで資金需要が低下することも考えられる。
その結果としてデジタル技術導入によるコスト削減や新生銀行のカードローンビジネスによる収益強化などのシナジー効果が発揮されるよりも前に、地方銀行の経営体力が弱まる展開は排除できない。その場合、SBIの銀行ビジネスが持続的に収益を獲得することは難しくなる恐れがある。
そうしたリスクに対応するために、SBIは新生銀行と地方銀行の協業強化を急ぐだろう。それに加えて、SBIは傘下の銀行勢と異業種企業の提携や、より多くの地方銀行との提携を進めることによって、事業運営の効率性を一段と高めようとするだろう。それが、わが国の個人や企業のアニマルスピリットにどういった影響を与えるかが見ものだ。